公開日:2019年07月10日

小児の誤飲について

こんにちは、いまいホームケアクリニック 小児科の小杉です。

 

今回は、小児の異物誤飲についてです。

 

アメリカでは1995年から2015年にかけて、乳児1万人あたりの年間での誤飲事故発生率が年々増え続け、9.5件から18件に倍増したそうです。

これは実際に事故が増加しているのか、病院に受診するケースが増えたのか、病院側が厳密に報告しようという意識が強まったのか、様々な要因が重なるため、一概には増加した要因は特定できていないようです。

このニュースを見て、日本はどうなのか調べてみました。

 

幸いまだ当院の小児科外来には受診されていませんが、小児科では非常に多く目にする疾患です。

子供の好奇心は大人の予想をこえていて、様々なものを飲み込みます。

 

厚生労働省の” 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告 ”によりますと、毎年8~10病院からの報告で統計をとっています。日本全体の数字ではありません。
以下は報告件数の毎年の推移(左)と、最新2017年の原因内訳(右)です。

2015年までの推移をみると、日本では報告件数は少子化の影響もあるのか徐々に減っていき、現在は横ばいでしょうか。

原因として最多はタバコです。次いで医薬品、食品、玩具、電池、洗剤などとなります。

 

男女差はなく、生後6~11か月が最多です。寝返り~はいはい~つかまり立ちの時期が最も危険と言えそうです。

タバコや薬剤は中毒、電池や磁石は胃や腸の障害につながる可能性があります。貨幣などは窒息の危険もあります。

基本的には、何か異物を口に入れて、食べた可能性があれば小児科を受診しましょう。無理に吐かせようとすると肺にムセこむこともありますので、お勧めできません。食べた可能性のあるもの(電池や洗剤など)の実物を持参していただくのは参考になりますので重要です。

 

小さなお子さんがいる家庭で、子どもから片時も目を離さずに生活することはできません。
予防はとにかく手の届く範囲はテーブルやソファの上にもモノを置かないということに尽きますね。