【市立美唄病院の建て替え中止】北海道における地域の実情、地域医療の変化は急速に進行している。
こんにちは、札幌は宮の森の在宅医@今井です。
最近気になるニュースばかりです。前回市立釧路病院の着工遅延の記事を書きました。
市立釧路病院の着工が延期・・・・原因は建築価格の高騰でしょうがこれ以上の価格の上昇は異常ではないですか?
今回は市立美唄病院の建築自体が取りやめになったとの記事が道新にでていました。
美唄市、病院建て替え中断 総事業費膨張、実施設計先送り 人口急減…市民、採算や維持懸念
内容が新聞読んでいないのでよくわかりませんが、総事業費が市立釧路と同じ様に1.2~1.5倍くらいに膨らんだんでしょうかね~
っていうかそもそもどんな建て替えを予定していたのでしょうか?建設工業新聞に以下の記事がありましたので抜粋してみます。
北海道美唄市/美唄病院・保健福祉総合施設基本設計/北海道日建設計に [2017年6月1日7面]
17年度中に病院と保健福祉総合施設の基本設計を完了させる。基本設計後は病院の実施設計を先行して行い、18~19年度に新病院を建設する。保健福祉総合施設の実施設計は新病院開業後の20年度に行い、21年度に建設に着手、同年度中のグランドオープンを目指す。
病院と保健福祉総合施設の実施設計は、いずれも北海道日建設計が随意契約で行う予定。
新病院と保健福祉総合施設の建設地は西2北1の1の1にある現病院敷地(1万6972平方メートル)。2棟は渡り廊下などでつなげる。
基本計画によると、新病院は3階建て延べ約7200平方メートルの規模。1~2階に検査室やリハビリテーション室、薬局などが入り、3階が病棟となる。ベッド数は一般病棟が56床、療養病棟が34床の合計90床を確保する予定。
総事業費は35億円を試算。そのうち設計費を含む建設費は約28億1000万円、既存病院の解体費は約3億6000万円を見込んでいる。
保健福祉総合施設は平屋約1400平方メートルの規模となる予定。健診ホール、会議室などが入る。建設費は約5億円を見込む。
現病院はRC造5階建て延べ1万2178平方メートルの規模。1943年に竣工し、66年に改築した。19~20年度にかけて解体する。
・・・・・35億円の事業がいくらの予算になったのでしょうね?興味はあります。
ちなみにこの35億ですが市立病院の資料によると実質的な負担はこのようになると予想していたようです。
一般会計で400~1500万/年、病院会計で5500~4400万/年と予想自体が結構ばらつきがありますが・・・人口2万人弱で病院建築の負債だけでこの金額ってかなり厳しくないですか?って感じてしまいますね。
さてせっかくなので美唄をとりまく状況を少しみてみましょうか。
↓美唄の場所
近隣には砂川や岩見沢があります。札幌までも車で1時間弱の距離ですね。
ということで人口予想としては一番下の図の上がおそらくは正しいかと思いますので2020年→2025年への変化は人口は最低でも1割減となるかと考えられます。ちなみに30年後の2050年には現在の半分の1万人弱って予想されています。(個人的にはもっと少なくなると予想していますが)
地図と人口動態をみただけでも正直札幌までこの距離の場所で人口がどんどん減っていっている自治体で大金かけて病院の改築って絶対やめた方がいいような・・・っていう結論が既に出ているような気がします。
さてそんな市立病院ですが、市立病院のHPにもありますがH29年に市立美唄病院の改革プラン策定・推進委員会が4,5,6回と開催されています。
その内容はこんな感じです。現在はこの議論の内容も踏まえ建築計画を諸々調整していたのでしょう。
ちなみに市の病院改革案もこちらにありましたので一応参考資料としてみたい方だけみてみてください。
市立美唄病院改革プラン 平成28年~32年度
となんとなーく上にのせた資料以外にも少し市立病院に載っている資料をみましたが、結局は自分の印象としてはとにもかくにも地域での人口減と高齢化の影響をかなり甘く見ているのではないかと感じました。
最悪の場合はどうなるのか、絶対その視点から地方自治は考えた方がいいかと思いますがそういうようには考えていないって資料みていると理解できます。(もしくは考えているが都合悪いので資料にのせていないのか)
うーん、過疎化する地方の自治体での医療提供体制をどうするかって本当に考えさせられる問題ですね。
ちなみに自分が市の職員であり限られた予算をベースに街を、医療を守る立場であったらどうしていくかを少し考えてみました。
○建て替えは中止。現行のプランでは絶対20年後にオーバースペックとなるだろうし市民の負担が高いから。
○できる限り現在の建物でひっぱり、無理になる時点で病床かなり削減したコンパクトな50床程度の病院(もしくは有床診)とする。高額機器は絶対購入しない。診療方針はあくまでプライマリーケアの水準の医療の提供。
○残りのベットがあればカンタキもしくは介護医療院で運営
○総合診療医を核とした診療とバックベット機能及び専門科の診療が必要であれば砂川もしくは岩見沢、札幌に依頼する。
ってところでしょうか。
あとは予算があまれば全力で産業振興と子育て世代の確保に動きますが・・・・まあ行政の担当者の方も色々考えられてはいるでしょう。
今後北海道に限らず地方の公的病院は今回の美唄と同じ様な決断を迫られる時期がそう遠からず来ることは間違いないでしょう。その時の参考のためにも是非注視してみてはいかがでしょうかね?
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