札幌の市立病院の赤字が100億って存続できるの!?地域包括ケアの時代における公的病院の意義とは?【公的医療機関等2025プランを踏まえて】
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
いつも在宅で困った患者さんいる時に一番頼りになるのが札幌の市立病院さんですが、そんな市立病院関連のニュースで読売新聞の記事でこんな情報がでていました。
病棟一部休止でも赤字100億円、市立病院苦境
市立札幌病院(札幌市中央区)が、患者数の伸び悩みや診療報酬の改定などで経営が悪化し、2017年度決算の累積赤字が100億円の大台に達する見通しだ。
市立病院は経営改善策を盛り込んだ次期中期経営計画(19~24年度)を策定するため、17日に病院経営者らによる専門家検討会を開く。病院経営に詳しい医師は、抜本的な改革が必要としている。
◆病棟休止
市立病院8階の東病棟(44床)は、今年1月から病室や廊下の電気が消され、人けがない。このエリアから患者や看護師らを別の病棟に集約、配置したためだ。空洞のような8階東病棟は一見、施設の無駄に見えるが、運営効率化の一環だという。
市立病院はこの頃、診療科ごとに定めていた病床の枠を取り払い、全病床を一元管理する方法に見直した。特定の診療科に入院患者が集中して病床が埋まると、ほかの診療科で空いている病床があっても入院できない無駄があったからだ。宇都宮顕佳・市病院局経営管理部長は「非効率な方法は今後も改めたい」と語った。
◆27億円借り入れても
市立病院は14年度から3期連続で経常収支の赤字が続き、貯金に当たる内部留保金は16年度に使い果たした。17年度は市の一般会計から27億円を借り入れたが、それでも約11億1000万円の赤字が見込まれ、累積赤字は約104億円になる見通しだ。
赤字の要因の一つに新規入院患者の低迷がある。13年8月に地元の診療所などと連携する地域医療支援病院に指定され、14年9月から初診時に紹介状を持参しないと追加料金を徴収する制度を導入した。国が病院と診療所の役割分担を進める施策の一環だが、同年度の病床利用率は前年度比4・7ポイント減の65・9%となり、初めて70%を下回った。
15年度は年度途中に798床から51床(6・4%)を削減して747床にしたことで、16年度の病床利用率は70・3%に回復した。それでも現行の中期経営計画で定めた目標を1・4ポイント下回る。
16年10月には紹介状がない場合の追加料金が2160円から5000円に引き上げられ、収益環境がさらに厳しくなった。これを受け、17年度からガーゼや包帯などの医療用品や薬品の共同購入による費用削減策を始めたほか、夜間の2次救急の受け入れを拡大して新規の入院患者を増やす取り組みにも力を入れている。
国は市立病院のような急性期病院に在院日数を短縮させる施策を打ち出し、平均日数が増えると診療報酬が下がる制度を取り入れている。市立病院の16年度の平均在院日数は10・7日で、計画(11・5日)より短縮できたが、短縮分を補うだけの入院患者が確保できずに収益減を拡大させた。
宇都宮部長は「在院日数は短縮させる方向で進める。そのため患者を増やす試みが重要で、地域の診療所との連携を強めたい」と話している。
17日からの専門家検討会には、市内の医師や学者ら委員4人のほか、アドバイザーとして道医師会の理事や民間病院経営者が参加する。10月に報告書をまとめ、年度内に策定する次期中期経営計画に反映させる。
累積赤字が100億って・・・・うちならその100分の1でも死んでしまいますよ。市立病院がなぜここまで赤字体質になってしまっているのか、おそらくは単純ではなく複数の要因が重なっているのでしょうが早急にどうにかしないといけない問題ですね。
2025年やその先を見据え公的病院が都市部や地方でどのように活動すべきか、昨年11月に厚生省の地域医療構想に関するWGで少し話がでましたのでその資料をみてみましょう。
第九回地域医療構想に関するワーキングルループ から 資料2 公的医療機関等2025プラン対象医療機関に期待される役割 より一部抜粋
ということでこれからの公的病院に求められることを以下にまとめます。
公立病院については、地域の医療需要や公立病院でなければ担えない役割、つまり
① 山間へき地・離島など民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供
② 救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供
③ 県立がんセンター、県立循環器病センター等地域の民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供
④ 研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点としての機能
を行うことが求められるので、これらの役割をどう果たしていくのか地域医療構想の中で考えましょうねっていうことになるかと思います。
翻って札幌の市立病院に関して考えてみるとどうか・・・・・正直この機能の中で市立病院でなければいけない機能って自分は②だけかと思います。
①はさておき③は市内に大学病院含め多数先端医療行う医療機関あり、④の機能は北海道というレベルで考えると市立病院で対応する業務の範疇を越えているかと思います。
私見としては2025年さらにその将来を考えると、さらに赤字をこれ以上累積させることはできない現状を考えると、
病床の一部返上を行い診療を縮小
コストがかかる先端医療に関しては他の医療機関に依頼する
メイン事業は在宅のバックベットとしての高齢者救急医療の充実と在宅医の支援
これができなければ本当に病院自体の存続が危うい状態となるのではないかと思います。
選択と集中、変化の時代は来ています。市立病院は変わることができるでしょうか?皆さんのご意見はいかがですか?
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