公開日:2018年03月23日

【2018年診療報酬改定の余波】施設系在宅医療からの撤退が始まった・・・

こんにちは、札幌の個人住宅メインで診療している在宅医@今井です。

2018年の診療報酬改定を受けて施設系の在宅医療が徐々に先細り、2020年までに施設ばかり訪問しているクリニックが将来を悲観して在宅医療やめるだろうと思っていましたが

2018年度の改定前なのにさっそく撤退する医療機関が札幌でもでてきましたね・・・

施設系在宅医療から撤退する理由

そもそも今回の診療報酬改定は当初予想していたよりはそこまで施設系の在宅医療の点数は下がりませんでした。それでも施設系在宅医療からこのタイミングで撤退するのは以下の理由があるかと思います

○徐々にではあるが点数が下がっているため2年後にはさらに減るだろうと予測して

○包括的支援加算がいずれ訪問診療の必須要件になると考えると、適応外の患者さんばかり診ている施設在宅は継続不可能と考えたから

○オンライン診療が今回導入されたため次回改定からは施設系にはオンライン診療がある程度導入されるであろう。それに対応するのは多大な労力が必要になるであろうから

○単純に収益と医師の給与のバランスがとれなくなって

などでしょうかね。うーん、在宅医療が単純に収益のみの点からしか考えられていないため撤退するのでしょうが・・・個人的には非常に残念ですね。在宅ってお金以上の価値を医療者にももたらす診療形態なんですが・・・

今後の当院の施設系在宅医療へのスタンス

という訳でそんな困った複数施設から早速当院に訪問診療の依頼がありました。当院の基本的なスタンスとしては

「必要な方には訪問しますが不必要な人には訪問しません」

「施設がきちんと診る気があってケアするならお手伝いします」

「もちろん最後の療養の場として患者さんや家族が希望するなら看取りができる施設であってほしい」

というような点を事前にお伝えし、それを了承してくれる施設には訪問診療を行っていきたいと思っています。まあ早い話がきちんと患者さんに寄り添う気があるならいくらでもお手伝いしますよって考えていますよ。

 

これからは施設系の在宅医療機関も2種類に分類されていくでしょう。一方はきちんとした在宅医療を居宅と同じように施設でも行っていく医療機関、もう一方は大量に施設系の患者さんを抱えて薄利多売ではないですがひたすら数をこなして診療していく医療機関とに・・・・それに伴い施設自体も医療へのスタンスをどうするのか、明確になっていくのでしょうね。

 

皆さんも医療機関でこのような状況が進んでいるのを他人事だと思ってはいませんか?いずれ必ず身近な問題として考える時期がくると思いますので、まわりの在宅医療の医療機関がどちらの分類になるのか、きちんと見極めておいた方がいいですよ・・・・ご意見あれば教えてください。

 

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