在宅医療の現場で感じた訪問看護師が増えない5つの理由、そしてそのための3つの解決策について
こんにちは、訪問看護ステーション併設している在宅医@今井です。
診療報酬改定もあり在宅医療の推進が不可欠と最近よく皆さんも聞くのではないかと思いますが、そもそも在宅医療の推進ためには在宅医が増えればいいのでしょうか?
確かに足りないよりは増えた方がいいのは間違いないですが、それよりも重要なのはまずは訪問看護師が充足することだと思います。医療と生活と両方の視点をもち実際のケアも行える訪問看護師さんが必要なことは在宅医療に従事している医療者であれば理解してくれはずですが実際はどうでしょうか?
・・・・残念ながら現実は圧倒的に訪問看護師さんは足りていません。
今日はなぜ訪問看護師が増えないのかその原因を考えて、同時に解決策についても実現可能なものを検討してみたいと思います。
なぜ訪問看護師が増えないのだろうか?
1病院の看護と在宅での看護の中身が全く違う
病院での看護業務は基本的には医師の指示のもと、ある程度ルーチン化された看護を上司や仲間の看護師と相談しながら行っていけますが、訪問看護業務は医師の指示が包括的、行うケアはある程度決まっているもののその時の患者さんの状態により何をした方がいいのかをその場で判断が求められます。かつ病状やケアについて仲間に相談するのもケアが終了して戻ってから、ということになります。
指示だされて動くことに慣れてしまった看護師さんにとって、看護方針はあるもののある程度その場で自分でアセスメントをしながらケアを行っていく、という業務とはマインドチェンジが求められることになります。これは結構ハードル高いです。
2在宅の制度が複雑
訪問看護の制度については医療保険と介護保険下での訪問看護があるのですが、これらの制度について単に看護の制度だけではなく周辺知識もあわせて覚えることが看護師さんには求められます。どうしてか・・・ケアマネさんがどう考えて動くのか、医師がどういう制度の元で動いているかが理解できなければ、その職種にどうアプローチして行動変容を促すのか、またはしてほしいことを依頼をするのかもなかなうまくはいきません・・・
個人的な経験から話をすると在宅関連の制度についてきちんとマスターして使いこなせるようになるまでは最低2年は必要なような気がします。
3給与と休み、待機の問題
上記のように業務自体も違う、周辺知識も必要といった勤務状況の中でも給与が特段いいかと言われればそういう訳でもありません。(一部すごい高いところもありますが大概そういうところは訪問看護を利潤の追求のみに考えている施設か会社の可能性が高いです)むしろ病院看護の給与が増えている現状を考えると低めかもしれません。休みに関しても比較的現状では訪問看護ステーションが少規模であることが多いため待機の回数も多く休みづらい環境ではないでしょうか。待機は大体月5~10回程度が一般的でこれもon‐offが明確ではないのが病院とは違ってストレスを感じるところでもあります
4育成に時間がかかる
上記2とリンクしていますが一度に訪問看護師を増やそうとしても増やせません。教育に時間がやっぱり必要です。一人立ちしてある程度の症例を一通り経験するのにやはり2年程度はかかるでしょう。なかなかこの期間の短縮は現状の制度の元では難しいのではないかと思います
5離職者の問題
上記の結果平日も休めない、待機もあるので休日もでる、給与も高くないといった悪循環となり現場に負担がかかると嫌気がさして訪問看護の業務自体から離職する看護師さんも結構います。やりがいはあるけれどそれだけではできないよねっていう看護師さんのいう事はもっともなことだと思います。でも現状現実はそんな感じなんですよね・・・・
という訳で簡単に訪問看護師が増えない5つの理由を書いてみましたが、これへの解決策って何があるでしょうか?自分なりに考えてみました。
訪問看護師を増やすための3つの提案
1制度設計をシンプルに
2ステーションの大規模化
3病院からの訪問看護をどんどん推進する
どうでしょうか。制度設計をシンプルとして周辺知識の整理をしやすくする、これにより業務ストレスを減らす。さらにステーションの大規模化を推進することで給与はさておき休みに関しては十分とれるようになるでしょう。さらに病院からの訪問看護を積極的に行うことで病院勤務者が訪問看護業務に触れる機会も増え訪問看護への裾野を広げることにもつながると思います。
って書いてみましたがどうでしょうか?これすぐやんないと2025年、さらにその先の40年にむけた地域包括ケアって笛吹けど誰も踊らずということになりかねません。
早く訪問看護師増やす施策、スピード感もって取り組んでほしいですね、皆さんはどう考えますか?