Be water, my friend~在宅医の神髄ってまさしくコレですよ!!&在宅医は1日をこう過ごしています
こんにちは、札幌宮の森の在宅医@今井です。
突然ですが皆さん在宅医がどうやって診療しているか知っていますか?そうです、病院の医師とは違い患者さんが動けない、通院できないので患者さん宅に訪問してその場で診察しているんです。
今日は当院の在宅医がどうやって1日を過ごしているのか、訪問診療や仕事の内容についてまた待機の制度や診療人数など思いつくままに書いてみたいと思います。是非一読してみてください
ある在宅医の1日
1朝のミーティング
8:30~9:00
診療医、診療同行看護師、MSW、訪問看護ステーションの看護師とリハセラピスト、ケアマネ、外来看護師参加で朝のミーティングを行います。内容としては全体への連絡事項の後に、昨日訪問した患者の情報共有と治療方針について相談、昨夜緊急対応した患者さんの報告、新規の患者さんの情報共有、退院時カンファレンスの相談、などを行います。大体全体で15分程度、その後は診療サイドと訪問看護ステーションにわかれその後で15分程度さらに別々にミーティングします。
2看護師、MSWとの打ち合わせ
9:00~9:15くらい
自分に同行する看護師さんとその日の訪問の打ち合わせ及び昨日の報告聞いて往診が必要そうな患者さんいたらその調整を行います。また電話で済みそうならば状態変化した患者さんに電話連絡や状態確認の電話も行います。MSWとも個別に相談しますが、自分がでるなら退院時カンファレンスの調整を依頼、他職種とのカンファレンスの調整を相談したり入退院についても指示を出すことになります。カンファレンス~ここの相談くらいまでで9:15~30くらいまで時間がかかることが多いですね。
3午前の訪問
9:30~12:00
大体午前の3時間くらいで3~4件程度の患者さん宅を訪問します。当院では大体自分代わり持つ地域を決めているので中央区なら中央区のエリアで訪問する、っていうことになります。1件の時間は大体30分から1時間程度、状態が変わらない人はサクサクとすすむこともありますが癌末期の方などはゆっくり時間をかけて診療しています。ちなみに運転は看護師さんがしてくれます
4休憩
昼は各自12:30~13:30か14:00くらいまで休憩しています。場合により昼に往診対応することもあります。昼のこの時間にすることは、朝に調整依頼した件の確認、状態変化あった患者さんの報告確認と指示、午前変化した人の入院依頼、診療同行看護師やMSWと午後からの訪問の確認とカンファレンスが夕にあるならその内容の最終確認などです。慣れてくればほぼ時間かからずに終わらすことが可能です。
5午後の訪問
13:30~16:30
大体午後も4件前後訪問しますが日によりまちまちです。全然訪問入っていない日もあります。昼食後なので眠い目をこすりながら??運転し訪問することになります。この時間帯、患者さん家族でお茶やお菓子たくさんでるんですよね~、体重増加には要注意。
6診療終了後
16:30~
状態変化した患者さんの確認や看護からの報告確認、明日の予定のチェックと場合により退院時カンファレンスやデスカンファレンスへの参加などを行います。大体一通り終われば、もしその日の待機当番であれば当番携帯をもって診療者で自宅へ帰宅、終了となります。当番じゃなきゃ自宅に帰ってゆっくり家庭サービスです。
7その他諸々
退院時カンファレンス
大体夕方16時とか17時から開催されることが多いです。病院側と相談しますので昼や午前にされることもままあります。診療医だけでなく担当の診療同行看護師、MSWも一緒に参加します。医療費の説明や在宅医療の制度についてもこのタイミングで説明しますがその説明はMSWが行ってくれます
デスカンファ
不定期ですが行っています。当院もしくは訪問看護ステーションで開催されることが多いです。看護師の考え方や他職種がどう考え何が不安であったのかなどを知る非常によい機会ですのであるときはぜひ参加した方がいいでしょう。
担当者会議
ケアプラン変更時や介護保険の再認定の時などは担当者会議を行います。ケアマネさんから開催の連絡が来たときに可能であれば参加して意見を伝えます。もし参加できないようであればMSWが代わりに参加してくれます。
院内カンファレンス
医局会は月に1回開催して診療に関しての諸々の改善などを行っています。それ以外の診療で困ったことなどは医局などで相談することになります。
待機について
大体平日は週に1回、週末当番は月に1回程度です。夜は2,3回に1度は呼ばれる程度でしょうか。必ず出動するわけではありません。その時に診ている末期の患者さんの人数に影響を受ける事が多いかなと思います。自分が待機ではないときは基本的には完全オフです。診療は在宅医療という性質上完全主治医制、土日夜間は待機制としています。
診療患者数
大体主治医1人についき50~70人程度です。大抵は60人くらいかなと思いますがこれもその時の入院している患者さんなどに影響は受けます。
8在宅医の基本的な医療における考え方など
在宅医療で一番大切なことはなんでしょうか?皆さんそれぞれ意見はあるかと思いますが自分は常々
在宅医療=コミュニケーションの医療
と思っています。
どんなにいい医療技術をもっている医師だとしても在宅医療の現場では良好なコミュニケーションがとれないと全く意味を成しません。これまでの病院医療ではある程度他職種がカバーしてくれていたかも知れませんが、在宅では一度患者さんや家族との意思疎通を失敗すると「もう来ないでください」っていう結果になります。
医師としての指導や助言などもプロフェッショナルの見地からは必要である場合があったとしても受け入れてくれない状態の時には言ってはいけません。
例えば誤嚥性肺炎で絶食の状態で帰ってきた患者さん、家族の方がどうしても食べさせたいって言ったときにあなたならどうするでしょうか?基本的には「しばらくは無理しないでいきましょう」っていうのがおそらくは正解でしょうが、家族の方が経口からの摂取に強くこだわりがある場合は強く絶食!絶食!っていうとその途端に患者さんや家族とのコミュニケーションの道は閉ざされてしまうでしょう
そんな時は「経口からとってもいいですが内容については相談しましょうか」とか「食べさせたい気持ちは良くわかりました。まずは看護師や医師が来ている時から始めませんか?」というような切り口でいけば相手もこちらを尊重してくれるかも知れません。
言い方一つとっても患者さんや家族の方とのいいコミュニケーションをとるっていうことは非常に大事になってきます。
相手が望むことはなんなのか、医師に期待していることはなんなのか、逆に言ってほしくないことはどんなことなのかを探りながら、その上でいい在宅生活を送ってもらうためにどう介入していったらいいのかを考える、それが在宅医療の基本だと自分は考えています。
さて最後にとある映画俳優さんから、在宅医療に従事する医師や看護師への丁度いいアドバイスがありますので引用したいと思います。まさしく在宅医のための言葉!って個人的には感じていますがどうでしょうか??
Empty your mind, be formless, shapeless – like water.
Now you put water into a cup, it becomes the cup,
you put water into a bottle, it becomes the bottle,
you put it in a teapot, it becomes the teapot.
Now water can flow or it can crash.
Be water, my friend.
心を空(から)にしろ。形を取り去れ。型を捨てろ。水のように。
水はカップに入れたら,カップに
瓶に入れたら,瓶に
ティーポットに入れたら,ティーポットになる。
そして水は流れることも,散々に分かれることもできる。
水のようになりなさい
どうでしょうか。
在宅医療の神髄は<どの患者さんを診察しようとも患者さんにあわせて水のように自在に自分を変え支援していきなさい>ってことだと思います。
時代や職種を越えて普遍的な言葉はありますね。皆さんの参考になれば幸いです。
では今日はここまで!在宅医療や家庭医療に興味のある医師随時募集していますから興味ある方は下のブログも参考にしてからご連絡ください
来たれ在宅医!!!っていうかそもそも在宅医療って現状どうなの???