公開日:2018年01月18日

「何がよくて病院の外来に通っているの?」~大きな病院よりかかりつけ医を選ぶべき理由とは

こんにちは、かかりつけ医@今井です。

最近外来にきてもらった患者さんでよくみるのが、自分の主治医だと思ってかかっていた病院の科の先生が、その専門科以外での対応が必要になった時に対応してくれず色んな科や病院に回されて大変困っている、との状況です。

結局何が困るかっていうと、症状への対応のための薬だけが増えて結局色んな相談したい事、訴えたい事があって病院に行ってもその科の診療範囲の解決策のみを医師が指示して根本的な解決策などをどの先生も提示してくれない、親身に考えてくれない、といった結果になっている点ですね。

今回のこのブログでは

とにかく待ち時間が長い

複数の科にかかって薬ばかり多くなっている

生活や介護のことも相談したいけれどできていない

医師とのコミュニケーションがとれていない

など、病院では解決できないような問題を抱えている患者さんや家族の方が、身近なかかりつけ医をもつメリットをお伝えしたいと思います。

 



大きな病院で解決できない問題ってなに??逆に診療所では解決できるの??

まずは少し古い資料ですが現在と大きく変わらないと思いますので以下の図をみてみてください。医療への満足度調査の結果です

患者さんの不満な点を再度書き出すと

待ち時間の長さ

夜間休日対応

医療スタッフとのコミュニケーション

相談窓口がない 

となっています。これって確かに自分の経験上も理解できるんですが、大体上位1~3位は大きくかわらないんではないでしょうか?

じゃあこれらの問題って病院側はなぜ放置しているのでしょうか?いえいえ、病院側もこれらが問題だっていうのは良く理解しているんんですが、少なくとも②はともかく、①③④って実は結構結構ハードルが高い問題なんです。

少し時間がかかりますがなぜ病院は①③④の問題を根本的に解決できないか、それがかかりつけ医のいる診療所ではどう対応できるのかをみていきましょう。



待ち時間の長さの原因は???

あなたが病院に受診した時、必ず辟易する問題はまずはこの待ち時間の問題でしょう。初診の患者さんは病院であれば必ず2~3時間は待つことはざらだと思いますし予約患者さんであっても1時間遅れとかはよくあります。かくいう自分も病院勤務時は「外来は遅れて当たり前」って感覚でした。

ようやく診察室に入ったらその日はそれで終了、検査はまた後日・・・・なんてことはよくあります。これってなんでだかわかりますか?大きく分けて原因は二つに分類されます

1 医師の応招義務の問題

2 病院経営からみた外来診療の重要度の問題

1に関しては言わずもがな、医師は死にそうな患者さんがいたり急遽手術が必要な患者さんがいたら、外来に100人待っていようがなんだろうが何をほっぽってもその患者さんに対応しなければいけません。医師は診療の必要性が高い患者さんをまず診察していかなければいけないのです。

そうなると必然的に比較的安定している外来患者さんは最期の診察に回されます。診察の重要度の高い患者さんとしては①救急外来で運ばれてきた患者さん→②病棟で変化した患者さん→③その後に外来患者さん、って順番となるのは理解できますよね??

また2の医療経済上の問題ですが、病院の経営者は一番重視しているのは病床の利用方法です。まずは病床をどううまく回すか→その後付随する外来診療をどうしていくか考える、といった順番になります。経営上も外来診療は病院にとってあくまで病床に付随して考えていくもの、であるためそこへの人的配置や配慮などはあくまでできる範囲で、予算の範囲内でってことになってきています。

ということで病院外来での待ち時間の長さはこの二つが原因であると簡単に理解してもらえればと思います。

さて翻ってかかりつけ医がいる診療所ではどうか。第一に診療所では応招義務のある重症患者さんはまずいません。(当院は在宅やっているのでいますが)なので診療所の医師は急患対応もなく予定通りの外来診療をこなせばいいことになります。また次に経営上も外来自体が主たる収入源です。なので人員配置や患者さんへの配慮もできる限りのことをしています。結果としておそらく診療所レベルでは(急性疾患が殺到する年末や休日、祝日は別として)待ち時間はおそらく30分以内のところが多いのではないでしょうか?

どうでしょうか?必然的に診療所の方が普段かかる場合には時間的な制約が少ないという事が理解してもらえたでしょうか?生活習慣病などへの遠隔診療が始まろうともこの医療へのアクセスのしやすさは圧倒的に診療所の方が上っていうことは変わらないかと思います。



医療スタッフとのコミュニケーションってどう???

病院外来でも診療所外来でも医療スタッフとのコミュニケーションって看護師さん、もしくは医師とであることは変わりありません。ここは簡単に済ませますが病院スタッフは医師看護師ともに

病院内の異動が多い

病院自体の異動が多い

あくまで医療が主体、コミュニケーション自体が仕事ではない

ってことからあんまり患者さんとのコミュニケーションを重視はしていません。もちろん軽視しているとは言いませんが。

一方診療所レベルでは基本的には医師の移動はありませんので、あなたのライフスタイル、サイクルをきちんと理解してくれてコミュニケーションをとることができます。看護師さんも基本的には診療所では話好きな看護師さんの割合は多いはずです。なぜかって??だって採用する院長が看護師さんに求める条件って診療所ではコミュニケーション能力が一番なんですよ。逆に言えばコミュニケーション能力の低い看護師さんは診療所勤務は務まらないと思います。

ということで診療所のスタッフがコミュニケーション能力が病院より高いって何となく理解してもらえるでしょうか?(もちろん全てとはいいません)



相談窓口がない???

病院外来では医師は医療の相談にはきちんと行いますが、正直生活や介護の問題、診療にかかるお金の相談のことは

俺の仕事ではないな

って思っています。これはいい悪いの問題ではなく、病院ってそういうところなんです。なのでこれらの問題には基本的には医師はノータッチです。相談窓口がどこになるかと言えば恐らくは外来看護師さんか地域連携室となるかと思いますが、これらの方々も正直あんまり力には・・・・・看護師さんは外来患者さんの対応で忙しいですし、連携室のMSWさんは入退院の支援などで精いっぱいです。(やっぱり病院は入院患者さんの支援を一番尽力しています)

結局色々相談したいのに相談する場所がないってこと、病院ではある程度仕方ないかとあきらめる必要がありますね。当たり前ですが

病院=医療を受けるところ

と病院では割り切ってもらわないといけないかと思います。

さて一方あなたのかかりつけ医の診療所ではおそらく医療面以外でも生活や介護のこと、お金のことや高額療養費制度なども医師や看護師さんに話をしていくことは可能でしょう。え?それらのことを知らないって???そんな訳ないはずです。診療所では医療費についてはそこの医師は事務より詳しいはずですし、何より普段の会話から生活や介護のアドバイスも病院の医師以上にはきちんとできるでしょう。薬ひとつにとっても安くていい薬が何か、かかりつけ医の先生はそこまで考えてくれると思います。

(え?生活や介護のことを聞いても相談にのってくれないって?そんな医師はかかりつけ医に選ぶのは辞めましょう、と声を大にしていいたいです。)

 

 

いかがでしょうか。大きな病院での治療は確かに専門的な医療という面ではいい面があるのは否定はしません。ただ

お薬は毎回変わっていないのではないですか?

あなたが本当に困ったときに親身に相談にのってくれる医療スタッフはいますか?

介護の問題やお金の問題が出たときに相談にのってくれますか?

体調悪い時に往診してくれますか?

自宅で看取ってくれますか?

 

こんな現状に疑問をもっている方であればすぐにでもかかりつけ医をみつけるために行動してみてくださいね、きっと今より

 

このエントリーをはてなブックマークに追加