公開日:2017年07月20日

医療とお金の話

来週は産業医の研修で九州にむけて出発です・・・・

 

こんにちは、先日とある患者さんの訪問診療のために自宅を訪れた時に介護者の息子さんの眉毛の上に絆創膏が貼ってありました。気になったんで「どうしたんですか?」と聞くと自宅で介護中に転倒し裂傷受傷したとのこと。処置してあげようとみたところ結構な深さの傷となっていました。テープでの処置では皮下組織がつくまで時間がかかるなぁと思ったためやむを得ず洗浄しその場で縫合したんですが・・・・えぇ、よくよく聞くと息子さん保険証持っていませんでした・・・

聞けば元々の収入も少ないのに親の介護のお金にできる限りお金使ってあげたいとのことで自分のことを後回しにしているとのこと・・・・今回の処置などのお金はまあいらないとしても、長期的に考えると息子さんも60代半ばであるため病気はいつおきてもおかしくない状況・・・できれば保険に入るようにおすすめしました。その後はクリニックに戻り自分からではなくSWにも介入してもらうようにお願いしてきました。

他の方もそうですが医療介護のお金の問題が患者さん家族に切実になってきているのが最近特によくわかります。これで医療保険の限度額の上限が上がったらどうなるでしょうね。でも社会保障制度の存続を考えたら自己負担増は避けられない問題・・・・もう皆保険制度を維持するためには正直保険給付をある程度制限(フリーアクセス?治療の範囲?)するしかないんじゃないかと思いますが皆さんどう考えますか?一臨床医として医療ってお金や貧困の問題とすごくよく関連しているのが肌感覚でわかります。最低限の医療を担保するためにどうするか、また将来の世代の医療のために何をするべきか、そんな視点で物事を考える必要が国民一人一人に今切実に求められているんじゃないでしょうか・・・・どうでしょうかね?

 

さて本日の医療ニュースはこちらです。先々の医療情勢のおおまかな基本情報が載っていますので是非頭の片隅においておいてください。

m3.comより

「改革進め医療・介護事業そのものを抑制」、経済財政諮問会議

塩崎厚労相、「薬価改革、年内に結果出す」

府の経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)は7月18日の会議で、「2018年度予算の全体像及び概算要求基準」と「中長期の経済財政に関する試算」について議論した。塩崎恭久厚労相は、社会保障費の高齢化による自然増分を「これまでの3年間と同じように、3年間で1.5兆円(年5000億円)を基調とすることを継続する」と説明した。民間議員からはさらなる抑制を求める指摘もあった(資料は、内閣府のホームページ)。

塩崎厚労相は「データヘルス改革、保険者機能の強化などを組み合わせれば、医療・介護事業そのものの抑制につながる。社会保障の予算の枠組みを考える際にはサービスの質の維持・向上を図りつつ、効率化を進める。健診でも若いうちから骨密度などを加えるなど、今後を見据えたものに変えていく。薬価改革についても、年内に結果を出していきたい」と説明した。

民間議員からは、中長期的には自然増分を年5000億円からさらに抑制するように要望があった。

2018年度予算の全体像では、社会保障について「社会保障関係費については、集中改革期間の2年間の実質的な増加が 1.0 兆円程度となっている。2018年度においても、2015年度までの実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5 兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を継続させる」と記載している。

麻生太郎財務相が提出した「概算要求の基本的方針(案)」では「年金・医療等については、前年度当初予算額に高齢化等に伴う増加額(○億円)を加算した範囲内で要求。ただし、増加額について、2013年度予算から2017年度予算までと同様、経済再生やこれまでの改革等の効果を引き続き適切に見込むとともに、過去5年間の増加額が高齢化による増加分に相当する伸びとなっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続していくことを目安とし、年金・医療等に係る経費について、『経済・財政再生計画改革工程表』に沿って着実に改革を実行していくことを含め、合理化・効率化に最大限取り組む」とある。

政府は2020年度に基礎的財政収支(プライマリー・バランス=PB)を黒字化することを目標に掲げているが、この日、提出された試算では2020年度のPBの赤字は8.2兆円となっている。経済成長による税収増とともに、歳出削減を進めることが不可欠で、社会保障費についてもさらなる歳出削減が求められる。

安倍首相は会議で、「財政健全化のためには、歳出改革の着実な推進とともに、持続的な経済成長が不可欠であることが確認された。また、経済成長を持続するためには、潜在成長力の引き上げが課題であり、働き方改革や人材投資・生産性向上を通じたサプライサイドの改革が最重要課題である。2018年度予算編成においては、本日取りまとめた2018年度予算の全体像を踏まえ、無駄な予算を排除するとともに、人材投資や生産性向上など真に必要な施策に予算が重点配分されるよう、メリハリのついた予算編成を進めていきたい」と話した。

自宅で縫合した傷、うまく治ってくれるといいですね・・・