札幌では質の高い薬剤師さんが地域で頑張ってくれています
こんにちは、今日は他の先生が当番してくれているので久々のオフの日です。念のため札幌市内にはいますが子供3人つれて普段はいけない銭湯に行ってきました。以前は当番日でも携帯電話(当番電話はガラケーです)こそっともって銭湯に入っていたんですが、やはり電話あったりしたら都度外まででてから電話にでることになるので落ち着いて入れないのです。まあ子供3人連れてはいるのでそっちも落ち着かないっていえば落ち着かないですが・・・・まあ非番の日のつかの間の贅沢を楽しみました。在宅やっている他の先生はそういえば銭湯に入れるんでしょうか?今度会ったら聞いてみたいと思います。
さて今日は当院の薬局さんとの付き合いについて簡単に書きたいと思います。当院は基本的にはほとんどの患者さんを2週間に1度診察しています。処方せんは都度だすことが多いので月に2度程薬局さんにお世話になることが多いです。処方箋は原本を自宅において薬局さんにファックスで連絡→配達してもらうことになります。当院とおつきあいのある薬局さんは基本的には土日も含め何かあったら薬の配達をしてくれますのでほとんど現行のかかりつけ薬剤師制度に合致する薬局、薬剤師さんだと思います。麻薬の点滴に関しては対応してくれる薬局さんは現在限られているため特定の薬局さんに依頼しています。居宅療養管理指導に関しては患者さんに請求しないで配達してくれるところが殆どですが、それでもきちんと服薬状況などについては連絡をくれるので本当に札幌では質の高い薬剤師さんが地域で頑張ってくれていると思いますが皆さんの地域ではいかがでしょうか。
さてかかりつけ薬剤師制度といえば現在どの程度までその概念と実態が普及しているのでしょうか。以下にその制度に関しての面白い記事を見つけたので引用します。結局は根本的にかかりつけ薬剤師制度がどのように患者さんのためになるのか、それを明確にしなければこの制度の普及はあり得ないと個人的には思いますがどうでしょうか。
高橋さんの記事、初めて読ませて頂きましたが大変おもしろかったです。これから過去記事も読む予定ですー。
BLOGOS より http://blogos.com/article/178149/
- 高橋秀和
- 2016年06月03日 17:18
「かかりつけ薬剤師」の理念を歪めてはいけません
今年度から始まった「かかりつけ薬剤師制度」について、薬局業界では大きな混乱が生じ、制度設計を担当する厚労省・日本薬剤師会に対する反発が広がりました。
これまでも厚労省や薬剤師会は、普段の健康相談から市販薬の購入、処方箋調剤に至るまで、複数の薬局をバラバラに利用するのではなく、信頼できる「かかりつけ薬剤師」を決め、一か所の薬局を利用するよう勧めてきました。
利便性のみを考慮すれば、これは利用者側にとって面倒な話です。市販薬が必要な時には、近くて安いドラッグストアを利用する、病院から処方箋が発行されれば、その都度一番近い調剤薬局へ行く。それが便利に決まっています。
ただし、市販薬販売制度に関しては世界トップクラスの規制緩和を敢行し、処方箋の調剤においても薬局の独立性を担保する規制・制度をことごとく採用しなかった日本において、「薬の利便性と安全性が両立する」といった説明が空虚に聞こえることも事実です。
医療や制度に関心の高い一部の人たちが、制度が信用に足るとは限らないという「自衛」の観点から積極的に「信頼できる薬剤師」を探す一方、「国が作った制度なのだから、きっと大丈夫だ」「製薬企業や医師は信用できる。間違いはない。」と高を括る人たちも少なくありません。
「薬剤師には何でも相談する。非常に助かっている。」
「薬局では薬を受け取るだけ。薬剤師が何の役に立つのか分からない。」
こうした相反する意見は、現在の状況をよく反映しているように感じます。
こうした中、「かかりつけ薬剤師制度」が始まりました。
『患者側は複数の薬局を利用しつつ、一人の薬剤師を「かかりつけ」として指名することで、服薬中の全ての薬について相談したり、管理指導を受けることができる。薬剤師はこのフィーを算定するにあたり、実務経験や研修認定、医療に係る地域活動といった要件をクリアする必要がある。』
簡単にいえば、このような制度です。
患者側の行動を誘導する意味では、一か所の薬局を利用すれば負担金を減額するといった、「お薬手帳と同様の負担金設定」を採用すべきです。ただ現状では、薬剤師をどういった指標で選ぶべきか分からないという患者も少なくありません(実際に簡単なことではありません)。
手始めに「複数の薬剤師を見比べましょう」というメッセージを送り、徐々に制度を整えようとする厚労省の意図は理解できます。
■混乱を生んだ算定要件「医療に係る地域活動」
薬剤師側が満たすべき要件の一つである『医療に係る地域活動』について、厚労省が発表した内容は次のようなものです。
医療に係る地域活動の取組に参画していること
(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)
文言をそのまま読み取れば、各地域で定期的に開催されている行政や医師会・薬剤師会主催の研修会を聴講するだけで、要件をクリアすることができます。
「講演等の実績」として、自薬局で地域住民向けの講演会を主催し、そこで講師を担当することも可能です。医師・薬剤師ともに、一人ひとりの患者に割くことのできる時間は短いものです。講演を行うことで、ある程度の時間をかけ知識を伝えるようになれば、地域の健康水準の向上にも役立つことでしょう。
ところが、こうした内容を届出書に記載した薬剤師の多くは、要件を満たさないとして地方厚生局から届出を却下されました。
その一方で、ある地方薬剤師会では「日本薬剤師会の要請に応じキャンペーンポスターを薬局内外に掲示、地域住民に周知するとともに、相談・質問に対応した」ことで要件がクリアできるとの案内があったと指摘されています。
これは、厚労省が発表した文言とは明らかに趣旨が変わっています。業界は大きく混乱しました。
■厚労省と大手調剤薬局チェーンの駆け引き
この混乱の裏には、厚労省と大手調剤薬局チェーンの間で、政治的な駆け引きがあったと囁かれています。
今回新設された「かかりつけ薬剤師制度」では、算定の拡大を狙う勢力が国会議員に働きかけ、要件である実務経験を、当初予定していた「5年以上の薬局勤務経験、当該薬局在籍1年以上」から「3年の経験と在籍半年」へと緩和させた。「地域活動」の締め付けは、その意趣返しである。
といった指摘です。
実際、市場化著しい調剤薬局業界では、加算点数を算定するため患者への強引な勧誘が横行していると批判され、業界に対する国民感情を悪化させるとともに、医療財政の圧迫にも繋がっています。
患者側に『信頼できる「かかりつけ薬剤師」を選びましょう』と言うのであれば、制度設計側にも信頼に足る薬剤師の質を担保する責任があります。
議員に働きかけ、実務経験の短縮を求めるという行為は実際にあったのかどうか。あったのだとすれば、実務経験3年で十分とする見解とはどういうものだったのか、尋ねてみたいところです。
■厚労省が示した「医療に係る地域活動」の具体例
4月に始まった「かかりつけ薬剤師制度」ですが、この混乱は5月19日に厚労省が疑義解釈を発表するまで続きました。
厚労省はこの疑義解釈の中で、当面の間、行政機関や学校等の依頼に基づく医療に係る地域活動(薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収など)や休日・夜間薬局への参画、学校薬剤師業務を認めるとしつつ、
〇 地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動
〇 地域において人のつながりがあり、顔の見える関係が築けるような活動
が制度の趣旨であること、具体的な事例として
1、地域ケア会議など地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加
2、地域の行政機関や医療・介護関係団体等(都道府県や郡市町村の医師会、歯科医師会及び薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供しているその他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加
を挙げました。
公共の福祉に寄与すべき薬剤師という職能の性格上、また保険医療に携わる公的な責務を考慮すれば、「かかりつけ薬剤師」を調剤報酬制度において定義するにあたって、地域医療活動への貢献が重視されることは十分に理解できます。
実際に「小児かかりつけ診療料」では、その要件として初期小児救急への参加、乳幼児健診の実施、定期接種の実施、在宅医療の実績、幼稚園園医・保育園嘱託医への就任のうち、3つ以上の該当を求めています。程度云々は別として、その意義を否定できるものではありません。
■大手調剤薬局チェーンに対する過剰な敵対心
しかし、この疑義解釈の内容に潜む、厚労省と日本薬剤師会が抱える「大手調剤薬局チェーンに対する過剰な敵意」には注意が必要です。
要件として設定された地域ケア会議や住民向け研修会について、協力する薬剤師が足りず運営に困難を抱える地域も少なくないと聞きます。今回の件で、薬剤師会に入会するチェーン薬局の薬剤師は増加し、地域医療活動の維持、職能としての薬剤師のガバナンス強化に役立つのかもしれません。
しかし、小児科医のケースと異なり、多くの地域では地域ケア会議・住民向け研修会の実施機会は、参加を希望する薬剤師数より少ないはずです。そして、そういった会議・研修会を差配するのは地域薬剤師会です。
今後、この要件を厳密に運用するならば、「かかりつけ薬剤師」の資格を持つのは、地域薬剤師会の幹部、そして彼らが経営する薬局に勤務する薬剤師ばかりになってしまいます。
大手調剤チェーンに対す過剰な敵意は、そこに勤務する薬剤師に対する否定的な感情にも繋がりかねません。もし日本薬剤師会側に「かかりつけ薬剤師」は自分たちこそがふさわしい、という思いがあるのだとすれば、それは明らかに間違いです。
「かかりつけ薬剤師」とは本来、信頼に足る薬剤師を選び、密接な関係性を保つことで健康上の利益を得るという、患者側の主体的な行為です。過剰な勧誘を危惧するのであれば、制度の趣旨や適切な選び方を、繰り返し患者や国民に向けアナウンスするしかありません。
そして日本薬剤師会が薬剤師を代表する職能団体なのであれば、本質的に重視すべきは薬剤師の自律性を妨げる、市場主義といった影響から薬剤師を守る方策や制度設計であって、チェーン薬局に勤務する薬剤師を制度から排斥することではありません。
もし薬局の多店舗化自体が、薬剤師の職業的善意より経済利益を優先させる圧力の主要因であり、構造的な問題だと考えるのであれば、実力のある若手薬剤師が大きな資本やコネなしに開業できるよう、業界の仕組みやルールを整備することが日本薬剤師会の役割です。
分業バブル時には医師会‐薬剤師会のコネクションを駆使して経営する薬局数を増やし、自身が退職する際には経営権を大手チェーンに売却した薬剤師会幹部も少なくないと聞きます。自分たちがどのような社会・業界を作ろうとしているのか、よく考える必要があります。
■日本薬剤師会の求心力低下
近年、日本薬剤師会の組織率低下が危惧されていますが、それは大手チェーンに勤務する薬剤師が増えたという理由ばかりではありません。職能団体として薬剤師会が本来保持すべきビジョンが明確でない上、中小チェーン薬局の利益維持・大手チェーン薬局への対抗に矮小化された政治的な行動は、多くの薬剤師の失望を買い、帰属意識の妨げとなっています。
日本薬剤師会が中小薬局チェーンの利益団体として行動するのであれば、大手チェーンに所属する薬剤師が日本薬剤師会に加入する理由はありません。
中医協などの厚労省会議において、業界のパワーバランスにより毎回のように差別的な業務内容を強いられる状況も、薬剤師会離れの要因となっています。
例えば、今回の「かかりつけ薬剤師」の要件を見れば、「かかりつけ」として機能するためには、地域の多職種連携が必須であると読み取ることができます。そうであれば、そもそも処方箋を発行せず医薬分業を否定する、あるいは在宅医療に関し薬剤師・栄養士等の医療職種の訪問管理指導を指示しない医師は「かかりつけ」に相応しくありません。ところがこうした「お題目」は、薬剤師が強要されることはあっても、医師に適用されることはありません。これが医療業界に横たわる「暗黙のルール」です。
数十年変わることのない、こういった状況を見た薬剤師が
「状況を打開するのは日本薬剤師会ではなく、大手資本による政治力だ」
と考えたとしても、それを責めることはできません。
現在、薬局はその存在意義を問われる段階にあります。
薬局に関する様々な問題は、そこに至る理由もなく、ただ真空に存在するのではありません。業界の歪みを放置したまま、それに対峙することなく矛先を別の箇所に向けたとしても、問題の本質は変わらず別の歪みが生じるだけです。