平成28 年度診療報酬改定の基本方針が示されました。

日々の臨床と突然の大雪で忙しく全く更新していませんでした。反省です。

第91回社会保障審議会医療保険部会が11月20日に開かれました。平成28年から30年にむけての社会保障改革の基本方針が示されています。医療関係者であれば目を通しておいて損はないと思いますので皆さんも読んでみてください。(基本的に国が言っていることはこの2年間ぶれていません。その方針の再確認のまとめ文章ですね)基本的に今回の改定は平成30年の医療介護同時改定にむけた布石の改定となると考えます。今回の改定が次へどのようにつながるのか、それを想定した上で読み解くことが必要ですね。また文章中にいくつか気になるキーワードが入っていますが皆さんはどこが気になるでしょうか・・・・・

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000104785.html の中の 平成28年度診療報酬改定の基本方針 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000104771.pdf からです。

 

平成28 年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)
1.改定に当たっての基本認識
(超高齢社会における医療政策の基本方向)
○ いわゆる「団塊の世代」が全て75 歳以上となる平成37 年(2025 年)に向けて、制度の持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持しながら、あらゆる世代の国民一人一人が状態に応じた安全・安心で質が高く効率的な医療を受けられるようにすることが重要。
○ 同時に、高齢化の進展に伴い疾病構造が変化していく中で、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が必要。医療や介護が必要な状態になっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、尊厳をもって人生の最期を迎えることができるようにしていくことが重要。
○ また、この「超高齢社会」という問題に加えて、我が国の医療制度は、人口減少の中での地域医療の確保、少子化への対応、医療保険制度の持続可能性の確保といった様々な課題に直面。さらには、災害時の対応や自殺対策など、個々の政策課題への対応も求められている。こうした多面的な問題に対応するためには、地域の実情も考慮しつつ、平成26 年度に設置された地域医療介護総合確保基金をはじめ、診療報酬、予防・健康づくり、更には介護保険制度も含め、それぞれの政策ツールの特性・限界等を踏まえた総合的な政策の構築が不可欠。
○ 2035 年に向けて保健医療の価値を高めるための目標を掲げた「保健医療2035」も踏まえ、「患者にとっての価値」を考慮した報酬体系を目指していくことが必要。(地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築)
○ 「医療介護総合確保推進法」等の下で進められている医療機能の分化・強化、連携や医療・介護の一体的な基盤整備、平成30 年度(2018 年度)に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定など、2025 年を見据えた中長期の政策の流れの一環としての位置づけを踏まえた改定を進めていく。
○ 特に、地域包括ケアシステムや効率的で質の高い提供体制の整備には、質の高い人材を継続的に確保していくことが不可欠。人口の減少傾向や現下の人材不足の状況に鑑み、医療従事者の確保・定着に向けて、地域医療介護総合確保基金による対応との役割分担を踏まえつつ、医療従事者の負担軽減など診療報酬上の措置を検討していくことが必要。
(経済成長や財政健全化との調和)
○ 医療政策においても、経済・財政との調和を図っていくことが重要。「経済財政運営と改革の基本方針2015」や「日本再興戦略2015」等も踏まえつつ、無駄の排除や医療資源の効率的な配分、医療分野におけるイノベーションの評価等を通じた経済成長への貢献にも留意することが必要。
2.改定の基本的視点と具体的方向性
(1)地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
【重点課題】
(基本的視点)
○ 医療を受ける患者にとってみれば、急性期、回復期、慢性期などの状態に応じて質の高い医療が適切に受けられるとともに、必要に応じて介護サービスにつなぐなど、切れ目ない提供体制が確保されることが重要。
○ このためには、医療機能の分化・強化、連携を進め、在宅医療・訪問看護などの整備を含め、効率的で質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築していくことが必要。
(具体的方向性の例)
ア 医療機能に応じた入院医療の評価
・ 効率的で質の高い入院医療の提供のため、医療機能や患者の状態に応じた評価を行い、急性期、回復期、慢性期など、医療機能の分化・強化、連携を促進。
イ チーム医療の推進、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を通じた医療従事者の負担軽減・人材確保
・ 地域医療介護総合確保基金を活用した医療従事者の確保・養成等と併せて、多職種の活用によるチーム医療の評価、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を推進し、医療従事者の負担軽減を図る。
ウ 地域包括ケアシステム推進のための取組の強化
・ 複数の慢性疾患を有する患者に対し、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施するなど、個別の疾患だけではなく、患者に応じた診療が行われるよう、かかりつけ医やかかりつけ歯科医の機能を評価。
・ 患者の薬物療法の有効性・安全性確保のため、服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を評価。
・ 退院支援、医療機関間の連携、医療介護連携、栄養指導等、地域包括ケアシステムの推進のための医師、歯科医師、薬剤師、看護師等による多職種連携の取組等を強化。
エ 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
・ 患者の状態や、医療の内容、住まいの状況等を考慮し、効率的で質の高い在宅医療・訪問看護の提供体制を確保。
オ 医療保険制度改革法も踏まえた外来医療の機能分化
・ 本年5月に成立した医療保険制度改革法も踏まえ、大病院と中小病院・診療所の機能分化を進めることについて検討。
・ 外来医療の機能分化・連携の推進の観点から、診療所等における複数の慢性疾患を有する患者に療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施する機能を評価。
(2)患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療を実現する視点
(基本的視点)
○ 患者にとって、医療の安心・安全が確保されていることは当然のことであるが、今後の医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえれば、第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進めながら、適切な情報に基づき、患者自身が納得して主体的に医療を選択できるようにすることや、病気を治すだけでなく、「生活の質」を高める「治し、支える医療」を実現することが重要。
(具体的方向性の例)
ア かかりつけ医の評価、かかりつけ歯科医の評価、かかりつけ薬剤師・薬局の評価
・ 複数の慢性疾患を有する患者に対し、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施するなど、個別の疾患だけではなく、患者に応じた診療が行われるよう、かかりつけ医やかかりつけ歯科医の機能を評価。(再掲)
・ 患者の薬物療法の有効性・安全性確保のため、服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を評価。(再掲)
イ 情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療に関するデータの収集の推進
・ 情報通信技術(ICT)が一層進歩する中で、ICT を活用した医療連携による医療サービスの向上の評価を進めるとともに、医療に関するデータの収集・活用を推進することで、実態やエビデンスに基づく評価を図る。
ウ 質の高いリハビリテーションの評価等、疾病からの早期回復の推進
・ 質の高いリハビリテーションの評価など、アウトカムにも着目した評価を進め、疾病からの早期回復の推進を図る。
(3)重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点
(基本的視点)
○ 国民の疾病による死亡の最大の原因となっているがんや心疾患、脳卒中に加え、高齢化の進展に伴い今後増加が見込まれる認知症や救急医療など、我が国の医療の中で重点的な対応が求められる分野については、国民の安心・安全を確保する観点から、時々の診療報酬改定においても適切に評価していくことが重要。
(具体的方向性の例)
○ 上記の基本的視点から、以下の事項について検討を行う必要。
ア 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価
イ 「認知症施策推進総合戦略」を踏まえた認知症患者への適切な医療の評価
ウ 地域移行・地域生活支援の充実を含めた質の高い精神医療の評価
エ 難病法の施行を踏まえた難病患者への適切な医療の評価
オ 小児医療、周産期医療の充実、高齢者の増加を踏まえた救急医療の充実
カ 口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進
キ かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化
ク 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションや医療技術の適切な評価 等
(4)効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点
(基本的視点)
○ 今後、医療費が増大していくことが見込まれる中で、国民皆保険を維持するためには、制度の持続可能性を高める不断の取り組みが必要である。医療関係者が共同して、医療サービスの維持・向上と同時に、医療費の効率化・適正化を図ることが必要。
(具体的方向性の例)
ア 後発医薬品の使用促進・価格適正化、長期収載品の評価の仕組みの検討
・ 後発品の使用促進について、「経済財政運営と改革の基本方針2015」で掲げられた新たな目標の実現に向けた診療報酬上の取組について見直し。
・ 後発医薬品の価格適正化に向け、価格算定ルールを見直し。
・ 前回改定の影響を踏まえつつ、現行の長期収載品の価格引下げルールの要件の見直し。
イ 退院支援等の取組による在宅復帰の推進
・ 患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で生活を継続できるための取組を推進。
ウ 残薬や多剤・重複投薬を減らすための取組など医薬品の適正使用の推進
・ 医師・薬剤師の協力による取組を推進し、残薬や多剤・重複投薬の削減を進める。
エ 患者本位の医薬分業を実現するための調剤報酬の見直し
・ 服薬情報の一元的把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を評価するとともに、かかりつけ機能を発揮できていないいわゆる門前薬局の評価の適正化等を進める。
オ 重症化予防の取組の推進
・ 重症化予防に向けて、疾患の進展の阻止や合併症の予防、早期治療の取組を推進。
カ 医薬品、医療機器、検査等の適正な評価
・ 医薬品、医療機器、検査等について、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を行うとともに、相対的に治療効果が低くなった技術については置き換えが進むよう、適正な評価について検討。
・ また、医薬品や医療機器等の費用対効果評価の試行的導入について検討。
3.将来を見据えた課題
○ 地域医療構想を踏まえた第7 次医療計画が開始される平成30 年度に向け、実情に応じて必要な医療機能が地域全体としてバランスよく提供されるよう、今後、診療報酬と地域医療介護総合確保基金の役割を踏まえながら、診療報酬においても必要な対応を検討。
○ 平成30 年度の同時改定を見据え、地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療・介護の基盤整備の状況を踏まえつつ、質の高い在宅医療の普及について、引き続き検討を行う必要。
○ 国民が主体的にサービスを選択し、活動することが可能となるような環境整備を進めるため、予防・健康づくりやセルフケア・セルフメディケーションの推進、保険外併用療養の活用等について広く議論が求められる。


地域包括診療料、地域包括加算について 2016年度診療報酬改定の予想

中央社会保険医療協議会の11月18日の会議にて、地域包括診療料、加算についての会合がありました。資料は下記に示します。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000104129.html の中の外来医療について http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000104474.pdf

中身も皆さんにはみてほしいですが結論がのっているP34を抜粋します。224

結局地域包括診療料に関してはメインとなるのは認知症の患者さんです。地域包括診療料でみてほしい認知症の患者さんに関しては、高血圧や脂質異常症、糖尿病などに限らずどのような疾患を合併していようが地域で医療介護の体制を構築し町医者がみていってくださいねというのが来年度からの診療報酬の方向性となると思います。論点のところを読み進んでみると、多剤投薬、具体的には7種類以上の投薬をしている認知症の患者さんに関しては診療報酬を減算します、というように読みとれますね。認知症の人に関しては投薬すべからず、と国が穏やかに告知しているように思えますが・・・・・・今後の議論がどうなるか、みていきたいと思っています。12月までに次期改定の骨格が決まるので要注意ですね。


長寿社会における生き方について

最近の診療報酬に関する報道をみていると、根本的には政治がどのように国民のことを考えているのか、どのような方向性に国を導きたいのかという考えが一番根底にあることがよく理解できますね。長寿社会はどの先進国でも問題となることですが、他国の政治の現状ですが下記に面白い記事があったので皆さんみてみてください。(他の記事も面白いので時間ある方は読んでみるのもよいと思います。)

長寿社会で根本的な変化を迫られる政治 http://kikugawa.co.uk/?p=3142

長寿社会を迎え、政治は根本から変わっていかねばならない。社会も教育も大きな変化を迫られている中、政治が、これからありうる社会像を示し、それへのはっきりとした方向性、対応した政策を打ち出していく必要が出てきている。しかし、政治は、後手に回っている。人々の平均余命はたいへんな勢いで伸びている。医学の進歩と生活水準の向上、そして身体も、腰や膝、臓器も含めて、不調になった部位を入れ替えることができるようになった。しかもこれらの研究は、加速度的に進んでいる。イギリスの統計局の発表では、1980-82年と比べると、2011-13年には、出生時の平均余命が、1日当たり、男性で6.3時間、女性で4.6時間伸びている。また、平均余命にかなり影響していると思われる喫煙がかなり減っている。1974年には、60歳以上の喫煙率が、男性で44%、女性で26%だったが、2012年にはそれぞれ13%と12%となった。コペンハーゲン大学のルディ・ウェステンドープ教授によると、我々の平均余命は、毎日6時間延びているという。心臓血管の病気で亡くなる人が減っており、しかも認知症になる可能性も、イギリスの大規模調査によると、過去20年で30%減っているそうだ。大幅に寿命が伸びており、現在の子供たちは135歳まで生きる可能性があるが、それへの心の準備ができていないと指摘する。65歳で定年退職、年金を受給して死を待つといった考え方は、19世紀的な妥協の産物の残滓で、親の世代の生き方が参考にならない時代だと言う。未来学者のロヒット・タルウォーが私立学校長の会で講演した話は、教育の場で特に重要だろう。タルウォーは、これからの子どもたちは、120歳まで生き、100歳まで働く可能性があるという。長生きする薬剤や医療の進歩で、毎年5か月寿命が伸びており、現在11歳の子供は120歳まで生きる可能性があり、100歳まで働くうち、10の職種で、40の仕事に就くのではないかという。もし、100歳まで働くとすると、労働年齢が、20歳前後から100歳まで80年にも及ぶ。また、ロボットや自動化が伝統的な仕事に取って替わるため、イギリスでは、仕事が今後10年から20年で、30~80%減る可能性があるという。つまり、産業構造が大きく変化する中、このような変化に対応できる人を育てる教育に変えていかなければならないというのである。時代は急激に変化している。これらの予測がどこまで本当になるかは不明だが、人々が、これまでよりはるかに長く生きる時代となり、はるかに高い年齢まで、本人の意思もしくは必要で働く時代になってきている。これまでの固定した考え方では、とても対応できない。イギリスでも高齢者で働く人がいる。1914年生まれの男性は、76歳でDIYショップのB&Qで働き始め、20年間働いた。B&Qには高齢で働く人は、他にもいる。また、公共放送BBCの人気ラジオ番組「アーチャー家(The Archers)」でペギー・ウーリーを演じている人は、1919年生まれで96歳だが、現在も現役である。こういう例が益々増えていくだろう。イギリス政府は、年金の受給年齢を段階的に68歳まで上げ、年齢を理由にして退職させたり、差別することができないようにした。しかし、人々が120歳や135歳まで生き、100歳まで働き続ける時代には、根本的に異なるアプローチが必要になっていると思われる。

結局この記事でいいたいことは一番最初の行によくでていますね、<長寿社会を迎え、政治は根本から変わっていかねばならない>と。翻って現在の日本で政治が劇的に変わること、期待するのは難しいのではないかと個人的には思っています。医療技術が劇的に進歩し現実的に90歳になっても元気に生きていけることが当たり前の時代になってきています。将来に亘って個人の力で生きていけるよう、今から考え準備していかなければいけないかなと考えますが皆さんは将来の自分、時代についてどう考えるでしょうか。


特養などの介護施設における訪問診療、訪問看護について

最近の記事ですが1億総活躍国民会議?で在宅医療、介護の方向性について以下のように報道がなされました。

http://www.sankei.com/life/news/151112/lif1511120032-n1.html

1億総活躍国民会議 厚労省、介護サービス6万人分上積み整備など提案

政府は12日、1億総活躍社会への具体策を検討する「1億総活躍国民会議」を官邸で開き、関係省庁や民間議員が緊急対策への盛り込みを目指す内容を提案した。塩崎恭久厚生労働相が6万人分の介護サービス整備上積みなどを表明したが、既存の政策の焼き直しや、1億総活躍社会への直接的な関連性が疑われる提案も見受けられ、関係省庁の予算分捕り合戦の様相も呈している。首相は、緊急対策について「『希望出生率1・8』の実現、『介護離職ゼロ』の2つの目的に直結する政策に重点化したい」と述べ、関係省庁や民間議員からの提案を絞り込む考えを強調した。緊急対策の取りまとめに向け、具体策の中心となるのがアベノミクス「新三本の矢」に密接に関係する厚労省の提案だ。「介護離職ゼロ」に関しては、特別養護老人ホームなど介護サービスの整備目標を2020(平成32)年度に34万人分としている現行計画を、2020年代初頭までに40万人分と上積みした。具体的には、都市部で特養の整備を進めるため、賃貸した建物での運営を一部認めるほか、国有地を格安で貸し出す。空き家や店舗を利用する場合に改修費を助成することも検討する。離職した介護職員の再就職支援なども打ち出した。ただ、介護サービスの新目標の達成時期は2020年代初頭と曖昧で、現行計画のままでも達成できる可能性がある。「希望出生率1・8」への対策でも、非正規労働者の育児休業取得の促進や不妊治療助成の拡充などは新味のない既存政策の延長だともいえる。一方、厚労省以外からの提案は「1億総活躍」とは関連性の薄い政策がずらりと並んだ。文部科学省は「GDP600兆円の実現」に関し、スポーツ産業の拡大を目指す「スポーツGDP拡大構想」や、生産性革命を支えるインフラ強化策として学校施設の耐震化対策の推進などを掲げた。総務省は、「女性活躍の推進」の一環で、女性消防職員の積極的なPRの展開や女性の消防団への加入促進を提案した。首相は自ら早速、会議で「大きな目標を掲げると、いろんな予算の候補が出てきて、結果としてピントがぼけてくることがある。限られた資源を有効に使わなければならない」とクギを刺した。

とあります。おそらくこれまでの在宅の方向性というものはかわらないけれど、ある程度特養や老健などの施設重視の方向性になるのは必須と思います。(もちろん基本的な在宅の考え方は居宅にいる患者さんですが)

しかし特養や老健における医療行為に関してはかなり制限があるため、介護施設に住んでいるもしくは短期入所している患者さんが状態悪化した場合現状ではなかなかそこで治療、というわけにはいかず結局病院への紹介となっています。その施設で治療を頑張るのであればその施設の看護師さん医師が点滴などの医療行為も含め頑張るか、もしくは外から看護師や医師が入る必要があるのですが現状では特養には末期の悪性腫瘍を除き基本的には訪問診療や看護は入ることはできません。特養や老健などの施設への誘導を進めるのであれば配置医や看護師の待遇がよくなるように診療報酬で誘導するか、もしくはどんな疾患であっても訪問診療や看護が外部から入れるように制度を変える必要があると思います。

今も特養にショートで入っている癌末期の患者さんにステロイドの注射をしに訪問していますが、結局は24時間の管理料もとれず、ボランタリーな活動になってしまいます。特養の整備とともに実際に即した診療や看護の制度の整備が望まれます。


医療現場におけるロボットの出現でかわることとかわらないこと

CNNのサイトをちらちらみていたら面白そうな記事がありました。中身としては職場におけるロボットの普及により今後管理や事務、生産部門において人間が行う作業の大部分をロボットが代行できるようになるのではないか、とのことでした。以下サイトからの抜粋です。 http://www.cnn.co.jp/career/35073513.html?tag=cbox;business

ロボット普及、労働人口の半数の職奪う可能性 米英で

ロンドン(CNNMoney) 英国の中央銀行であるイングランド銀行は15日までに、職場でロボットの普及が進み、今後10~20年内に米国では約8000万人、英国では約1500万人が職を奪う可能性があるとの見方を示した。両国の労働人口比ではそれぞれ約半数に相当する。ロボット進出で最も影響を被る職種としては管理や事務、生産部門などを挙げた。同銀の首席エコノミストは、コンピューター技術の発達で以前は人間のみが可能と考えられていた職種が自動化の波に洗われつつある事例を指摘。ロボットの進出はこれとは違った側面を持つとし、「ロボットは人間の手だけでなく頭脳の代わりにも成り得る」と強調した。その上で、ロボットの職場への進出が直ちに人間の失業の急増につながるわけではないとも説明。「人間はロボットに対する優位性を維持する仕事に自らの技能を調節していくだろう」とも予想した。人間の歴史において技術革新が職場を急変させた例は過去にもあると主張。産業革命の時代に、多くの手作業の労働者が技能を向上させ、より熟練した仕事に成長させた前例も紹介した。ただ、ロボット技術の進展はこれとは違った展開を招く可能性もあると指摘。知能に優れたロボットの誕生は技能が中間レベルの職種を奪い、人間に残された仕事は低技能もしくは高度な技術を必要とする職種のみになりつつあると分析。ロボットが優秀になればなるほど、人間の技能しか処理出来ないとされてきた仕事の範囲がさらに縮小する可能性があると警告した。

とのことでした。医療現場ではどうでしょうか。ダビンチなどの高性能な手術器具、HALに代表されるリハビリスーツ等が医療現場のロボット化として考えられますが、それ以上にこれからもどんどん革新的な技術がでてくるでしょうね。また先日のブログにちょびっと書きましたが地域での患者情報共有システムのあり方ですが、IT技術の進化によりこれまで以上により身近で使いやすいネットワークとなり、各自の健康管理をきちんとした情報環境の中でできるようになると思います。

単純作業をする医師や看護師が必要とされなくなる半面、これからはよりemotionalな部分に働きかけることができる医療者(共感できる医療者)が、医療の現場において必要とされる時代がくると自分は考えます。そこはロボットでは無理ですよね。皆さんは20年後医療の現場でロボットと人間との間の仕事の線引き、どうなっていると思いますか?

 


中医協報告~訪問診療、看護の診療報酬について

中医協での議論が熱中しています。来年度の診療報酬改定について、在宅時医学総合管理料や高齢者住宅への訪問診療のありかたの是非について、また訪問看護では医療保険でのステーションと診療所や病院との関係についての資料が長々とでています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000103646.html の中の http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000103907.pdf

一応一通り180ページ近くぱらぱらと流し読みしました。皆さんはみてみましたか?

在宅の診療報酬の細分化はしばらくはさけられない(その後には包括化になるんでしょうか・・・・)ことと、病院と同様に在宅の診療所に関してもいずれ機能分化の議論が始まるのではないかと感じました。訪問看護に関してはステーションと診療所、病院などの複数の医療機関からの医療保険での訪問看護の報酬上の評価がどうなるのか、少し注意してみていく必要がありそうです。

12月中にはある程度方針がきまるでしょうが、これまでの財政諮問会議なで医療費に関する報道内容などをみると在宅医療もこれから診療報酬が下がる時代に突入していくでしょうね。


札幌医大の地域連携担当者会議に参加してきました。

月末から月あたまにかけてはレセプト業務が忙しくなかなか更新できませんでした。反省・・・・・。さて今日は18時30からプリンスホテルで開催された札医の地域連携の会議に参加してきました。IMG_1355

内容としてはこれまでの札医の連携実績の発表や、地域の在宅医や亜急性期医療機関のこれまでの札医との連携内容、はたまた最近話題の脊損患者さんへの骨髄幹細胞の治療などもあり充分面白かったです。すべての話を聞き終わる前に患者さんからの呼び出しがあり夜間往診となりました・・・・本当は会合後他の先生と話をしたかったのですが仕方ないですねー。

市立札幌病院でも先日地域連携のネットワークということですずらんネットという取り組みを始めることを公表していましたが、現時点では今後市内の大病院が各々のネットワーク構築にむけて動き出すことになることは明らかだと思います。ただ5年後、10年後を考えると医療機関をつなぐITインフラやネットワークインフラが共通のものにできないのか・・・・そこを調整するのが医師会なり自治体の仕事と思いますが、皆さんはどう考えますか?どうなるでしょうね・・・

 

 


在宅看取りの文化的背景について

MRICの記事ですが大変興味深く読ませていただきました。看取りの場を自宅としているその文化的な背景と考え方が良く理解できますので皆さんも読んでみてください。翻って北海道を考えてみると、やはり死生観や看取りについての厚みのある文化的な歴史や背景は現時点では存在しないと思います。そんなところも北海道で在宅医療、在宅死が進まない一因となっているのは間違いないでしょうね。今後北海道の風土や文化に土着した看取りへの考えや死生観がでてくるのでしょうか。どのくらいの長い時間がたてばコンセンサスがこの地域でできるのでしょうね。自分が生きている間は難しいのかな・・・・・

記事の中にあるように与論島でも状況が変化しつつあるとのこと、地域毎の風習は是非残ってほしいと思いますが皆さんはどう考えますか?

MRIC 医療ガバナンス学会より抜粋です http://medg.jp/mt/?p=6221

Vol.214 与論島の病院に霊安室がない理由

 

たつみこどもクリニック
辰巳憲

2015年10月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

多くの病院には、ひっそりとした目立たないところに霊安室が設置してある。亡くなった患者さんに遺族や病院のスタッフが別れを告げ、そして多くは寝台車によって斎場ないし自宅へ運ばれていく。 

前回の記事で、与論徳洲会病院は、島の医療のかなりの部分を充足し、島の経済を潤し、雇用を創出していると述べた。そんな「なんでもある」与論徳洲会病院に欠けているもの、それが霊安室である。

もちろん、霊安室がないのは単なる設計ミスではなく、必要がないから設計されなかったのである。逆に言うとどうしても霊安室が必要な場合、例えば、島への観光客が不慮の事故で亡くなった場合には大変である。以前は病院の一室を用意し、ドライアイスを取り寄せ(島にはドライアイスを作る設備がない)、島外から駆け付けるご遺族の方を待つ。何年に一回かこういったことはあるそうである。逆に言えば、与論島に住んでいるほとんどの方が在宅死である。そこには島独特の死生観がある。

病院で患者さんがいよいよという時を迎えると、患者さんは退院してしまう。もちろん歩いて帰れるような状態ではないから、病院の搬送車で自宅まで搬送される。そして住み慣れた自宅で、家族や島外から集まった親戚たちと最後の時間を過ごすこととなる。そして呼吸が止まった段階で医師が病院から呼ばれ、死亡確認、死亡診断書を作成するという形になる。

なぜそんな手間をかけて自宅に送り届けるのか?与論の家には仏壇がなく、神棚が祀ってあり、常日頃から神棚を通じて祖父母など身近な先祖に見守られて生活している。つまり神棚はこの世とあの世を結ぶ窓口であり、自宅こそが祖先のいるあの世に通じる一番身近な場所であり、そこで息を引き取るということは、家族親戚のみならず、自分の祖先にも見守られて息を引き取るということである。このように与論島民の死生観は、人は自宅で先祖に神棚を通じて、生活の場で見守られて生きており、また将来は自分も見守る存在になるという考え方である。

そして亡くなった方の魂は守護霊として、33回忌まで、ミズヌバチ(水の鉢)をささげられ神棚に祀られ、33回忌を迎えると、ティンヌブイ(天登り)といってお祭りをにぎやかに行い、守護霊は神様になり、お供え物も人の食べるものから生米など 神様に供えるものとなる。

このようなプロセスを経て、生者が死者となり祀られて長い時間をかけて神となっていき子孫の生活を見守る、これが与論島民の死生観である。逆に言えば、この祀られるプロセスがないことは与論の人にとっては恐怖であり、正しく祀られていない霊はカーユン(祟る)と考えられている。自宅以外で亡くなった人の魂は招魂儀式という儀式で自宅に呼び戻されたのちに祖霊として祀られるのである。祀られている霊には恐れはないが、祀られていない霊こそが与論の人にとって恐れの対象となるのである。こういった考えがあるのでクボシャ(誰のものかわからない骨が散らばる森)には誰も近寄らないといった生活習慣も派生している。

このように独特の死生観をもつ与論島であるが、葬送の方法もまた島独特のものがある。

明治11年以前は風葬が行われていた。風葬つまり野晒しであり遺体はハンシャ(岩下/崖下)と呼ばれる崖に葬られていた。風葬跡地はジシと呼ばれている。この習慣は明治になり衛生面の懸念から風葬禁止令をもって行われなくなった。

その後は土葬が行われるようになった。この土葬も与論島ならではの「改葬」という方法をとっている。つまり死者を二度葬るわけである。死者はいったん棺に入れ埋葬される。その後3-5年経過した後、白骨化したのちに一度掘り起こされ洗骨して骨壺に移し替え改めて葬るというやり方である。話をきくと、グロテスクという感じがするが、実際に改葬の経験のある与論保健センターのセンター長の田畑文成さんによれば、改装で祖父の遺骨に触れているときに感じたのは恐怖というよりは愛おしいという感情であったという。改葬とは改めて神棚を通じて生活を見守ってくれている先祖の存在を認識し、慈しみを感じる大切な機会であったのである。

しかし、2003年島に島初めての火葬場、昇龍苑ができてから、与論島の葬儀は大きく変わった。3-5年かけて行っていた白骨化のプロセスが二時間ほどに短縮されたのである。

また、葬式、および改葬を行うにおいては、親類や関係者の協力が必要で、まつりごとのための準備、もてなしの準備など多くの手間がかかる。それを肩代わりしてくれる火葬場の存在は非常に大きい。ゆんぬんちゅ(与論人)の一生は「自宅で生まれ、自宅で死ぬ」であったのが、ほぼ病院で出産することが定着したので「病院(与論島ではお産ができないので主として沖縄の)で生まれ、自宅で死ぬ」に変化しており、またここで火葬場の登場により「自宅で死ぬ」が「病院で死ぬ」に変化していくのかもしれない。現に与論徳洲会病院の電子カルテには病院での看取りを希望という記載が出てきている。

死とは法律的には、死亡診断書により、医師により宣告されるもので、人生の最後の一断面のように捉えられがちである。しかし、与論島の人にとって死とは長いプロセスであり、法律的には死亡していても、まだ自宅におり日々の生活場を共有して、見守っていく時間ということであると思われる。この死生観は、「孤独死」といった悲しい言葉が行き来する現代社会において、今後もずっと残っていてほしいものであり、火葬場の登場によっても失われないことを私は願っている。

最後に、この文章を書くにあたり、大川隆一朗さんの多大なご協力を頂いた。大川さんは2015年6月私の診療に合わせて与論島を訪れ、保健センターでの聞き取り調査、図書館での文献検索などをおこなってくださった。与論島民の死生観をまとめるために必要な多くの資料は大川さんの努力の賜物である。もちろん文責は私にあるが、彼の努力なしにはこの文章は書けなかったはずである。大川さんは慶応大学医学部の学生であり、資料の検索の時間の他は、自ら志願して病院実習を行い、カンファレンスに参加し、私が自分のクリニックに戻った後も与論島にしばらく滞在し、与論の海や自然を満喫したそうである。大川さんにこの場を借りてお礼を申し上げるとともに、医学生そして医師としての成功をお祈りさせて頂きたい。

また本稿をお忙しい中、ゆんぬんちゅを代表して最終的に手直ししてくださった上に、島の方への仲介の労を取ってくださった与論徳洲会病院事務長 酒勺浩隆さんに厚く御礼申し上げます。