公開日:2015年07月14日

在宅医は本当に不足しているのか

どの地域でも医療業界は医師不足が続いているといわれて久しいですね。ましてや札幌や北海道ならなおさらだと思います。

地域医療や在宅での緩和ケアを担当する在宅医の実情はどうなのでしょうか。もちろんその数は足りていないです。でもそのことは皆さんは知っているのでしょうか。知らないと思います。現実はどうか簡単に札幌の実情を述べてみたいと思います。

まずは在宅医療の定義を考えましょう。

wikipediaによると在宅医療の定義とは

狭義には緩和医療などの医療者が通院困難な患者の自宅もしくは老人施設などを訪問して医療を行うことである。 広義には、「病院外」で行うすべての医療のことである。例えば処方してもらった薬を自宅で飲んだり、注射薬を使用しつつ職場に通ったりするなど、通常社会生活を行いながら、自宅で行う医療、継続する医療はすべて在宅医療といえる。 在宅患者は自立度の高い人から低い人まで様々である。

とあります。

在宅医とはこのような医療を提供する医師と定義できると思います。おおよそ訪問診療医と同じと考えてもらっても良いかと思います。

札幌における在宅医、訪問診療医はどの程度いるのでしょうか。皆さん知っていますか?

医師会における訪問診療主治医を在宅療養情報マップから見てみたいと思います。https://www.spmed.jp/z/search/role/1

訪問診療主治医の名前がざっとみるだけで113件ヒットしています。この中で本当に地域包括ケアのために24時間365日体制で訪問診療主治医として活動している医師がどの程度いるのでしょうか。おそらくはその10分の1程度でしょうか・・・・・

でもしかたがない面がありますね。1人の開業医で在宅医療に関わるそのすべてをカバーする、しかも休みなく、というのは現状ではかなり無理があります。今後どのような地域包括ケアシステムを既存の開業医の先生の力をかりつつ構築するのか、今こそ考えなければいけないですね。

これから本当に在宅医が不足してくると、病院から放り出される在宅医療難民が札幌でもでてくることは必至と思います。いわんや他の地域はどうなるのでしょうか。また既存の在宅医に過度の負担がかかることにより診療の質の低下は避けられなくなると思います。このままではかなりあぶないかなと思っていますが、解決策はあるでしょうか。

ひとまず当院にできることは患者さんを一人ずつしっかりとみていくこと、あとは地域包括ケアに興味のある医師にきてもらい、在宅医療や緩和ケアで必要な知識を共有することだと思います。ゆっくり頑張っていきますね。興味のある医療者の方どんどんご連絡ください。一緒にがんばりましょう。