公開日:2025年08月07日

「らしさ」を尊重するための不完全な症状緩和・・・よしとできますか?

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です

在宅緩和ケアの現場では、患者さんや家族の方から治療の延命効果や余命の予測がよく話題になります。「あと何日生きられるのか」「あと何週間持つのか」などなど・・・具体的な数字で質問されることは珍しくありません。

ただ今井としては在宅緩和ケアに携わってからはそういう質問に対してはできる限りこう答えるようにになりました。

「日数は確かに気になりますよね。ある程度は予測し伝えることはできますよ。ただあまり先まで考えずに、まずは1日1日を大事に、日々の生活の質を良くしていくことを共通の目標にしませんか、と。」

5年程前のある70代の男性のことを思い出しています・・肺癌が進行し痛みも強くなってきた頃でした。医療的には、鎮痛薬を注射に切り替えて投与、当初は疼痛が緩和されましたが再度痛みが上昇してきました。

今井とすれば増量すればもっと痛みに対しては楽になるので「少し増やそうと思っています」とお伝えした時でした。

けれどその患者さんは、今井の提案に首を振りました。「薬を増やすと頭がぼーっとして孫と話せなくなる。それなら多少痛くてもまだこのままの方が自分にとっては幸せだ」、と。彼にとっての“生きる”とは、痛みのない時間を増やすことではなく、1日でも多くお孫さんと交わす何気ない会話を守ることでした。

医療者の目から見ると「少しでも苦しみがなく」がどうしても理想に映りますよね。しかし本人の視点から見れば、「何をして過ごすのか」「どう過ごすのか」の方がはるかに重い意味を持っていたんです。

痛みや息苦しさを完全に取り除くことが、<その人らしさ>を失わせる場合もあるのであれば、その症状緩和は意味があるのでしょうか?

緩和ケアの目的は、苦しみを和らげ、人生の終盤をその人らしく生きられるように支えること。けれど「らしさ」を守るためには、ときに“不完全な症状緩和”を選ぶことも今井はありなのかなと臨床の中で患者さんから教えて頂きました。

活動量や会話の機会を守るために、多少の痛みを許容する。そこには「あと何日生きられるか」という物差しでは測れない価値がある、そう思いませんか??

医療者としては不完全な症状緩和であっても、その人の笑顔や会話、温もり、<らしさ>を守れるならそれは立派に“完全な緩和ケア”・・・人それぞれ何を目的にするのか、在宅医療者はそれを尊重し、よく考えて医療提供しないといけないなと考えています。

皆さんは不完全な症状緩和でもよしとできますか?

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