資料提供~ドイツ、イギリス、フランス、アメリカにおける看護師の業務範囲とその拡大~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

日本でも特定行為や専門看護師の養成などが徐々に始まっていますが正直あゆみはかなり遅いですね・・・・諸外国はケア体制の構築にどのようにしているのだろう?と興味があって資料探していたのですが、ちょうどいい資料みつけたので紹介します。興味ある方、特に在宅医療関係の看護師さんで管理者になりたい方や将来を見据えて活動したいと思っている方は資料が少し長めですが是非一読してみてください。損はしないと思います。

健保連海外医療保障 No.129 2022年3月 より

特集:看護師の業務範囲とその拡大

本文引用すると長いですので各国のまとめの文章のみ抜粋してみます。

今井が気になった部分は赤文字にします。

ドイツにおけるケア専門職養成教育制度の改革

Ⅴ. むすび
以上のように、人口高齢化等に伴いケアに対する需要が増大・変化することに対応して、ドイツではケアの質とケアの仕事の魅力の向上を目的とするケア専門職養成教育制度の根本的な改革が行われた。この改革により講じられた様々な措置のなかでも、特に注目されるものとして次のような点をあげることができる。
一に、長年にわたり続いてきた看護師、児童看護師および老人介護士に分立した養成教育を統合し、すべての年齢階層の人のケアに適切に対応できるジェネラリストとしてのケア専門職の養成教育が導入されたことである。この改正は、ケア専門職として従事する者の質の向上のみならず、ケアの分野において専門職の人手不足が生じていることに対応することを目的としていることに留意する必要がある。たしかに、専門職の養成教育がケアの各分野(病人の看護、病気の子供の看護および高齢者の介護)に分立する制度では、それぞれの分野でケアを提供する施設や事業にとっては、専門職の雇用に当たってその者がいずれの養成教育を修了したかが重
要な意味を持つ。また、ケアの仕事を行おうとする者にとっては、修了した養成教育が就労する施設・事業の範囲に影響を及ぼすことになる。
このため、ケア専門職の養成教育が分立していることは、ケア専門職の雇用・就労を難しくする要因となることは間違いない。今回、ジェネラリストとしてのケア専門職の養成教育が導入されたことは、施設・事業がケア専門職として雇用する者の範囲および養成教育を修了した者が就労する施設・事業の範囲を拡大し、ケア専門職の雇用・就労の機会を拡大する効果を持つものと期待される。また、専門職としてケアに従事する者にとっては、各分野間での異動が容易となり、将来においてより広い範囲の仕事を
選択することが可能となる。このことは、ケア専門職の養成教育を受け、ケアの仕事に就く魅力を高めることにもつながるものと考えられる。
第二は、専門職としてケアに従事する者の養成教育費用の負担である。ドイツでは、従来から、看護師、児童看護師および老人介護士の養成教育を受ける者に対して、養成教育報酬が支払われてきた。今回の改正では、これに加えて、養成校の費用についても、養成教育を受ける者に負担が求められないこととなった。これらの費用は病院や介護施設が受け取る診療報酬および介護報酬などで賄われ、最終的には保険料や利用料などで負担される。これによって、ドイツにおいては、自らの費用で養成教育を受けケ
ア専門職として働こうとする者が出てくることを待つのではなく、医療保険、介護保険などの費用負担により、給付の提供に必要なケア専門職を積極的に確保する方向への転換が行われたとみることができる。
第三は、大学でのケア教育に関する規定が設けられたことである。これにより、通常の養成校で行われるケア専門職の職業的な養成教育を通じて習得される能力に加え、大学でのケア教育を通じて習得される高度の専門的な能力が示された。この結果、大学でケア教育を受けることにより、単に大学教育による学位とケア専門職の資格とを同時に取得することが可能とされただけではなく、養成校における養成教育とは異なる大学でのケア教育の目的、役割などが明確にされた。
第四は、ケア専門職の資格を有する者にのみ許される任務の導入である。ケアの分野においてはこれまでは資格を有する者にのみ許される任務は定められてこなかった。しかし、ケアの分野においても、個別ケア計画の策定のように、専門的な養成教育を受け、必要な知識・技能を習得した者によって遂行されるべき任務は存在する。したがって、こうした任務の遂行を専門職の資格を有する者に限り認めることは、ケアの質の確保およびケアを受ける者の保護の観点から有効な手段となりうるものと考えられる。
また、このことはケア専門職に対する評価を高めることにもつながると期待される。
ドイツにおいては、専門職としてケアに従事する者の確保とその質の向上を図るため、本稿が対象としたケア専門職養成教育の改革のほかに、ケア専門職の労働条件の改善、社会的評価の向上、外国人ケア従事者の確保などを目的とした様々な取組みが行われている。したがって、ケア専門職養成教育の改革について検討するだけで、ケア専門職確保のための取組みの全体像が把握できるわけではない。しかしながら、上記の点は、高齢化等に伴うケア需要の量的拡大および質的変化への対応を考えていくうえで、
重要な参考となりうるものであるといえる。

 

フランス看護師の業務範囲とその拡大

Ⅶ. まとめとわが国への示唆

1. わが国における認定看護師養成とフランス専門看護師制度との関係
厚生労働省医政局看護課「特定行為研修制度に関するトピックス」によれば、特定行為兼修を行う指定研修機関等は2020年8月現在222機関、特定行為研修修了看護師数は2,887人である。
この制度とは別に認定看護師制度の認定審査が1997年 か ら ス タ ー ト し た。認 定 看 護 師(Certified Nurse)とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として、日本看護協会の認定を受けた看護師で、以下の3つの役割を果たす。①個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力にもとづき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する(実践)、②看護実践を通して看護職に対し指導を行う(指導)、③看護職等に対しコンサルテーションを行う(相談)。教育期間は6か月以上で、看護師としての実務経験5年以上(そのうち認定分野3年以上)を有し、認定試験を経て登録される。これらはフランスの専門看護師・管理看護師に該当する。
さらに2015年に設立した特定行為研修制度を受け、認定看護師制度に特定行為研修を組み込み、新たな認定看護師制度を2020年4月からスタ ー ト さ せ た。2020年5月 現 在 で21分 野、20,721人の認定看護師が全国で活動している。
厚生労働省の調査によれば、2019年10月現在、在宅領域の特定行為研修修了者は、全修了者のうち約7%と少ない。その理由として、①患者ごとに主治医が異なり、それぞれの医師が手順書を作成しなければならないこと、②制度に関する情報が十分医師に浸透していないことがある。
地域包括ケアシステムの構築を見据えた場合、在宅領域で就業する特定行為研修修了者数が伸び悩んでいるのは心もとない。フランスではこの領域をカバーする開業看護師の人気は高く、20年間で3倍増加し、2021年には全看護師の17%を占めるようになった。増加の背景には、地域で働くことの魅力が増していること、医師の処方箋があればある程度の裁量権が付与されているため、自律的に看護実践が展開できることがある。
また、新たに創設されたIPAは、チーム医療のもとでの裁量権が拡大している。わが国の在宅領域で頻度の高い4行為(気管カニューレの交換、胃ろうカテーテルまたは胃ろうボタンの交換、褥瘡または創傷の治療における血流のない壊死組織の除去、脱水症状に対する輸液による補正)は、すでにフランスでは看護師の「固有の役割」として認められていた行為もあったが、チーム医療のもとでIPAが実施できるようになった。
2. フランスではマネジメントや多職種連携を高める多様なコースが準備
されている
フランスでは専門看護師や高度実践看護師(IPA)のように、高度に専門分化する看護師を養成する一方で、開業看護師、管理看護師、コーディネーター看護師という多職種連携やマネジメント機能を身につけた看護師も養成してきた。特に管理看護師には保健医療管理職(臨床のマネジャー)だけでなく、病院長や施設長などトップマネジャーになれるコースも用意さ
れている。
2009年7月21日法により医療計画と地方健康計画が統合されたことで、制度上縦割りであった保健・医療・福祉・介護を包括した行動計画が策定されるようになった。これにより地域全体を大きな施設として捉え、在宅入院(HAD)等をネットワークとして位置づけ、場所や制度を越えてサービスを提供する仕組みを整えてきた10)。つまり、フランスもわが国と同様に地域包括ケアシステムに舵を切ったため、看護管理教育にも地域マネジメントや多職種連携教育などが含まれるようになった。
わが国の特定行為研修修了看護師の行為は、フランスではすでに看護師の「固有の役割」のもとで、専門看護師や開業看護師が実践してきた経緯がある。さらにIPA創設によりさらなる拡大が期待されている。ただし、これらは医師の処方やプロトコールに準じて実施するものであり、あくまでもチーム医療の一貫として実践するものである。
3. 有機的なネットワーク形成には多様な看護師の配置が求められる
チーム医療や多職種連携には、コーディネートやマネジメント機能が不可欠である。それゆえ、管理看護師(特に保健医療管理職)やコーディネーター看護師養成に舵を切ったことは、フランス版地域包括ケアシステム構築にも貢献するものと思われる。
また、在宅医療・ケアの要として存在しているHADにも管理看護師が配置され、開業看護師ともチームを形成している。つまり、フランスでは医療機関だけで専門分化した看護師を配置するのではなく、地域全体を見据えた専門看護師・管理看護師・コーディネーター看護師を配置し、さらに高度な実践についてはIPAを活用するという、多様な看護師によるネットワー
ク形成を目指している。つまり点ではなく、ネットワークのハブ(結節点)として、看護師を配置することで、有機的な連携ができるものと期
待される。
超高齢社会の構築に向けて、少ない人的資源で多くの高齢者を支えるためには、医療の提供方法を変える(①病院・病床の機能分化、②在宅医療の推進、③チーム医療の推進、④看護師・医療スタッフの役割拡大)という方向性は、先進国ではほぼ共通の認識として確認されている。
いずれにしても人財育成とネットワーク形成が鍵になるものと思われる。

 

イギリスにおける看護師の業務範囲とその拡大

Ⅴ. おわりに
医療に関する法令のあり方と雇用契約の仕組みが看護師の業務拡大を柔軟に促すことを可能にしていた点が、日本と大きく異なるイギリスの特徴である。それによって、学校教育を通じて高度実践看護師の養成を行うだけではなく、現場に出てからも実践の中で着実かつ安全に看護師が診療経験を積める環境が維持されている。ナース・プラクティショナーが国家資格となっていない点は懸念材料ではあるが、既存の雇用契約の仕組みを通じて一定の安全管理や質の確保がなされているといえる。
医薬品の処方に関する規制のもとで処方者の国家資格が設定されているが、資格取得の前提となる診察や診断の実践経験を積む素地が制度的に確保できることは、高度実践を志す者にとって大きな強みとなろう。看護師による処方は、患者のケアと満足度の向上に寄与し、医薬品へのアクセスを高め、受診までの待機期間を縮小し、総じて質の高いケア提供につながることが、過去の調査からも示されていた。処方看護師がこれまでのところ順調に広がってきた要因はそうした医療現場の基盤にあったと考えられる。
現在では多様な医療専門職に関して業務範囲の拡大が進められ、処方が認められている。したがって、看護師の業務範囲は医師だけでなく様々な職種との関係性のなかで変化し続けながら、発展していくことが予想される。これまでの経緯や医療・介護連携を目指す将来のケアシステム像からしても、看護師がNHSで果たす役割は大きくなりこそすれ、縮小することはなさそうである。イギリスの医療において看護師は今後も重要な役割を占め続けていくことだろう。

 

アメリカの看護師の職務範囲とその拡大

Ⅳ. おわりに
本論ではアメリカの看護職における職務拡大について、特にAPRNを中心に論じた。医療提供者側の要因、患者側の要因、さらに大きな社会経済的要因、実にさまざまな力が働いて現状が作られた。特に筆者が着目したいのは、国民皆保険ではない社会にあって、いかに多様な国民に医療を提供してゆくか格闘する過程である。
APRNは「ミニドクター」と揶揄されることもあるし、社会的弱者は「ミニドクター」の診療しか受けられない格差社会だとネガティブに捉えることもできるかもしれない。しかし、それはあくまで医師を絶対視する見方であり、従来型の医療の形を不変のものとする見方である。
本当の意味での医療の質は何か、自分が求めるQOLとは何かと今一度考えてみるとしたら、APRNをはじめとする看護職の役割はより重要性を増すだろう。
最後に、アメリカとは違う文脈に置かれた日本の医療に対して示唆できることを挙げたい。はじめに、社会経済的な観点から指摘できることは、日本もジニ係数が上昇の一途にあるという点である。国民皆保険制度があるとは言え、今後、福祉的医療を必要とする人は増えるであろう。そして、2020年以降、私たちは公衆衛生に携わる医療専門職の価値を、痛感させられた。
保健師を筆頭に過重労働を強いられ、機能がパンク寸前に至った経験を、感染症の収束とともに忘れ去るべきではない。折しも、医療機関の
機能分化が課題とされ、かかりつけ医の存在に焦点が当たっている時でもあった。歴史上類を見ない人口の高齢化を迎えていることも併せ、重層的な医療提供体制を整える機は熟している。
そして、看護師や医療提供者の側から見てみよう。日本でも四年制大学を卒業した看護師が増えた。向学心旺盛な彼女らのキャリアラダーを整え、生涯にわたって看護の仕事を極めたいと望む気持ちに応えることもまた、良き医療を作るには不可欠のように思える。2024年からは労基法による労働時間規制が医師にも適用され始める。ACGMEの規制厳格化をAPRNや
Physician Assistantの活用によって乗り切ったアメリカの事例は、何がしかの学びがあるのではないだろうか。

 

 

 

他国の変化をきちんと理解することは非常に勉強になります。比較して日本の現状はどうなのか、今後どうなっていくのか、自分は自分なりにこの資料を読んで理解できたような気がしますよ。

地域包括家の未来は看護師さんの業務拡大にかかっています。ただそのためにも役割と責任の明確化、医療体制の変化についての国民への丁寧な説明は必須ですね。国はできるでしょうか??

 

今後も自分が面白いなと思う資料、適宜アップしていきたいと思います。興味ある方は定点観測しておいてくださいね。

 

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