公開日:2022年03月23日

医師の働き方改革に関する要望書~医師の時間外労働の規制はどんどん先送りに??~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

医師の働き方改革に伴い時間外労働の規制が2024年から開始されますが、それに伴い病院医療がたちゆかなくなるぞ・・・と早速日本医師会と病院経営側から3月18日に要望書がだされました。以下確認どうぞ↓

m3さんより

医師の宿日直基準の緩和、罰則規定の猶予を厚労相に要望

日本医師会、四病院団体協議会、全国有床診療所連絡協議会は3月18日、宿日直許可の基準緩和など、医師の業務の特殊性を踏まえて対応することなどを要望した「医師の働き方改革に関する要望書」を後藤茂之厚労相に提出した。

現状の許可基準では、時間外労働の上限規制などが適用されると医療提供体制の縮小を余儀なくされるなどと訴え、宿直を月8回、日直を月4回までの場合、宿日直許可を認め、かつ医師が他の医療機関に応援に行く場合、派遣元と応援先の回数を分けて扱うほか、2024年4月から予定されている時間外労働の上限規制の罰則適用を数年猶予するよう要望している。現行の厚労省の基準は、宿直は週1回、日直は月1回以内であり、これらを超える場合でも宿日直許可を与えるよう求める内容だ。

後藤厚労相との会談の冒頭、日医会長の中川俊男氏は、「現在の宿日直許可基準は、医師も一般労働者も同じ。医師の特殊性を考慮した基準になっていないため、医師の宿日直に許可が出ないのが現状」と述べ、この状態で罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されれば、大学病院からの医師の引き揚げによる地域医療の崩壊、副業・兼業先から収入が得られなくなった大学病院の勤務医が離職して、大学病院の診療、研究、教育の質の低下が起きると訴えた。

非公開の会談後、中川会長は、記者らに対し、「このままでは、地域医療が崩壊する。危機感を共有していただくのが今日の最大の目的」と語り、「これから、いろいろ考えるとの回答だった」と答えた。

要望書は、医師の宿日直は、一般業種と異なり、(1)救急外来、入院患者対応といった気を張り詰めた業務が一定程度発生、(2)宿日直中であっても、応招義務があるため対応しなければならない、(3)多くの医療機関が自院の医師だけでは対応できず大学病院からの応援に依存している――という特殊性があると指摘。

その上で、宿日直許可自体の判断基準、宿日直許可の回数等、行政の対応、罰則規定の取扱い――の4項目について要望(文末参照)。

要望書に記載した「危機感」は下記で、既に現実にこうした動きが起きていると訴えている。

・上限規制を遵守するために医療提供体制を縮小せざるを得なくなる。
・大学病院からの応援で成り立っている地方の医療機関では、宿日直許可が取れないために、通算の上限時間超過を懸念する大学病院から医師を引き揚げられ、医療提供体制を縮小せざるを得なくなる。
・上限規制により大学から他の医療機関への応援が制限されると、副業・兼業先からの収入が得られなくなった大学病院の医師が離職して処遇のよい一般病院に移る動きが起こる。これにより、大学病院の診療、研究、教育の質の確保が困難となる。
・これらがどの地域・診療科・医療機関・大学でどの程度起こるか予想できない。

厚労省は2019年7月の通知で、医師の宿日直許可について示している。「医師の勤務実態把握マニュアル」で、「宿日直の回数について、許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数は、 宿直勤務については週1回、日直勤務については月1回を限度とすること」と示している(厚労省のホームページ)。この基準と大きくかけ離れる要望だけに、そのまま通るとは現実的には考えにくい。

全日本病院協会会長の猪口雄二氏は会談後、「宿日直がまずは突破口だと考えている」と語った。まずは高めの要求をし、今後の交渉で落としどころを探る戦略と言えなくもない。

医師の働き方改革をめぐっては、自民党の社会保障制度調査会医療委員会「医師の働き方改革の施行に関するプロジェクトチーム」や、「地域で安心して分娩できる医療施設の存続を目指す議員連盟」でも議論を続けている。並行して厚労省は、都道府県と病院を対象に、準備状況などについて実態調査を実施する。2024年4月の時間外労働の上限規制の適用まで2年に迫る中、ここ数カ月の動きから目が離せなくなっている。

「医師の働き方改革に関する要望書」

1.宿日直許可自体の判断基準
(1)各々の医師について、宿直時の睡眠時間が十分でない日(例えば、睡眠時間が6時間程度に満たない日)が月に5日以内であれば宿日直許可を認めていただきたい。
(2)宿日直中に救急等の業務が発生する場合でも、その業務時間が平日の業務時間と比べて一定程度の割合に収まっている場合であれば、宿日直許可を認めていただきたい。
(3)特にローリスクな分娩が主となる産科医療機関においては、分娩数にかかわらず、宿日直許可を認めていただきたい。ハイリスクな分娩を扱う産科医療機関においては、宿日直中の分娩等の対応が月8~12件程度であれば宿日直許可を認めていただきたい。

2.宿日直許可の回数等
(1)医師の健康に配慮しつつ、地域医療提供体制を維持するために、医療機関における各医師の宿日直について、宿直を月8回、日直を月4回まで許可を認めていただきたい。
(2)上記の宿日直回数については、他の医療機関に宿日直の応援に行く医師の場合、派遣元と応援先の宿日直回数をそれぞれ分けて取り扱うこととしていただきたい。
(3)各々の医師の連日の宿日直について許可を認めていただきたい。

3.行政の対応
医師独自の宿日直許可基準を明確化し、対応の統一を図っていただくとともに、実態に合わない判断が出された場合、厚生労働省に相談できる窓口を設置することをお願いしたい。

4.罰則規定の取扱い
許可基準を見直したとしても、現状では、全国の医療機関が新型コロナウイルス対応に全力であたっており、働き方改革に取り組める状況にないことから、時間外労働の上限規制の罰則適用を数年猶予いただくようお願いしたい。

 

 

 

 

自分も経営側ですが、これってもう何年も前から議論されていたことですよね?正直医師会も厚生省も動きが遅すぎると思います。本来もっと前に対策を実行に移すべきだったと思います。

具体的にすべきことは

①タスクシフトの推進

②医師の診療科別の偏りの是正(地域別に保険医登録数の上限を決める、専門医数を絞る、など)

③自由開業の規制

④病院の統廃合の推進による医師の集約化

が真っ先に検討されるべきかと・・・・ここら辺をたなに上げたまま勤務医の医師にのみ過重労働を負担させるのは絶対間違っていると自分は思います。

 

まぁおそらくこの議論の行きつく先ってもう見えていて、2024年からの医師の時間外労働の規制の罰則適応の期限延長になるだろうと個人的には考えています。が、本当にこれでいいんでしょうか?日本医師会は誰のための組織でしょうか?

 

 

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