公開日:2025年08月28日

資料提供:相次ぐ有料老人ホームの不適切な事案、その対策は?(上)-医療的ニーズの高い人の支援が不十分な点など背景を探る

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です

ニッセイ基礎研究所さんから高齢者住宅における問題点についての資料が公開されていましたのでシェアします。次回の診療報酬改定では間違いなくメスが入る高齢者住宅、集合住宅での訪問看護・・・・どのように取り上げられているか確認してみましょう!!以下8月27日の資料です。

相次ぐ有料老人ホームの不適切な事案、その対策は?(上)-医療的ニーズの高い人の支援が不十分な点など背景を探る

気になった文言いくつか抜粋します(訪問看護絡みで)

「有料老人ホームに入居する末期がんや難病の人を対象にした訪問看護などについて、一部の事業者による過剰請求の疑いが相次いで報じられており、世間の耳目を集めています。厚生労働省も2025年4月、業界関係者や有識者、自治体関係者らで構成する「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を組織し、透明性や質の確保に向けた対応策の議論を始めました。今後、2026年度診療報酬改定や2027年度介護保険改正に向けて、適正化を意識した見直し論議が加速する見通しです。・・

さらに、報道されている事案は複数の事業者にまたがっており、共通点として、概ね4つの点を指摘できるとのことです4

(1) 必要ない人にまで「1日3回」「複数人での訪問」「早朝・夜間・深夜の訪問」を設定。

(2) 原則30分間は訪問しなければいけないのに、数秒~数分の訪問でも30分滞在したことにして報酬を請求。

(3) 看護師1人の場合でも複数人での訪問、または早朝・夜間に訪問したという虚偽の記録を作って報酬上の加算を請求。

(4) 表面上は「コンプライアンス」を掲げ、相談・通報窓口を設置しているが、内部のスタッフが声を上げると、異動や退職に持って行く。パワーハラスメントも横行。

主な対象者は末期がんの患者やパーキンソン病など難病の患者。いずれも医療的ニーズが高い人という共通点があります。サービスの名称は公式に定められているわけではないため、「ホスピス型住宅」「ホスピス住宅」「ホスピスホーム」「ナーシングホーム」「緩和ケアホーム」「医療特化型有料老人ホーム」「パーキンソン病専門」など様々です。

こうした事例が一部の不心得な法人あるいは個人に限った話であれば、何らかの形で制限または処罰すれば済む話です。それでも短期間に同様の案件が報じられている点を踏まえると、まだ分かっていない案件、あるいは報じられていない案件は多いと推察されます。俗な言葉に言い換えると、「手っ取り早く儲けられるビジネスモデル」として広がっている可能性が高いと思われます。・・

第3に、制度の不備を指摘できます。例えば、報酬制度で言うと、先に触れた通り、介護付きでは1日当たりの包括報酬が採用されているのに対し、住宅型では回数で算定する出来高払いとなっています。この結果、ケアを過剰に提供するほど、収入が増える状況になっており、不適切とされる事案の温床の一つになっています。

さらに、医療保険と介護保険の狭間で起きている制度の不備という側面も見逃せません。訪問看護サービスは多くの場合で介護保険の適用を受けるのですが、図表3の通り、▽厚生労働相が別表で定める病名の患者、▽患者の主治医が必要性を判断し、訪問看護事業者に交付する「特別訪問看護指示書」の対象になる患者、▽厚生労働相が「特別な管理を必要とする状態にある患者」と定める別表に該当する場合――などについては、医療保険の適用を受けることになっており、今回の不適切とされる事案は介護保険ではなく、医療保険適用で起きています。

その結果、過剰サービスを防ぎにくくなっています。具体的には、介護保険では要支援・要介護度別に定められた区分支給限度基準額(以下、限度額)が定められており、これを超えると全額が自己負担になります。このため、限度額が上限として機能する分、過剰サービスにもブレーキが掛かる仕組みが内在しています。

しかし、医療保険の場合、限度額のような上限は存在しません。このため、「囲い込み」を通じてサービスを過剰に提供しやすくなっています。このほか、行政の監視の面でも「抜け穴」が起きやすくなっています。訪問看護事業者が介護保険の適用を受ける際、都道府県か、政令市・中核市に申請を提出するほか、普段から介護保険の保険者(保険制度の運営者)である市町村の運営指導も入っています。

これに対し、不適切とされる事案は医療保険の適用を受けているため、主な所管は厚生労働省の出先機関である地方厚生局になります。要するに、不適切とされる事案を監督する部署は国、自治体に分かれていることになります。

少し分かりやすく言うと、医療保険と介護保険の狭間で起きる「ポテンヒット」を突いていると言えます。既述した通り、筆者が「悪い意味で綿密に考えられたビジネスモデル」という印象を抱いているのは、この辺りにあります。」

 

次回2026年の診療報酬改定ではまず間違いなく集合住宅における医療保険での訪問看護については「包括性」の導入となることでしょう。そして今後は監査も含めてしばりが厳しくなっていくハズです。いや、社会保障制度を考えるとならないといけないと今井は思っています。

真面目にやっている事業所にとっては厳しくなるかもしれませんが、もう仕方ないですね・・・マスで考えると避けられない状況かなと。

ニッセイ基礎研究所さん、次の原稿もあるようなので継続して確認していきたいと思います。皆さんは集合住宅/医療保険を取り巻く訪問看護について、どう考えますか??

 

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