フリーアクセス制限のその先の世界は?【【識者の眼】「そろそろアクセス制限を考えよう」榎木英介】
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です
先日オレゴンルールについてちょっとだけブログで取り上げました。質、価格、アクセス、どれを諦めますか?と。8月11日の記事です。
今井は2010年代から2020年代半ばには今後はアクセスが必ず制限がかかると考えていたのですが、実際はまだまだそこまではいっていないですね。
さて今回医事新報さんの記事で上記を取り上げた記事を見つけましたのでご紹介します。興味ある方は一読どうぞ↓
【識者の眼】「そろそろアクセス制限を考えよう」榎木英介
「2025年7月の参議院議員選挙を前に、私が代表を務める全国医師連盟は、主要政党(7党)に医療政策アンケートを送り、回答を得た。
今回の参議院議員選挙では、社会保障費の行方が争点となった。アンケートでも、各党は国民皆保険制度堅持では一致したものの、高齢者の窓口負担引き上げや医師の働き方改革に伴う追加コストをどう賄うか、では温度差が大きいことが明らかになった。
医療トリレンマは、「費用・質・アクセス」すべてを同時に最適化できない、2つまでしか最適化できないとする。日本は、質(治療成績)とアクセス(フリーアクセス)を優先し、世界最長の平均寿命と夜間でも受診できる体制を築いた。
しかし、国民医療費は2022年度に46兆円を超え、対GDP比はOECD平均を上回る11%台まで上昇した。現役世代1人当たりの高齢者支援金は、この10年で1.4倍に膨らみ、賃金上昇を凌ぐペースで保険料が重くなっている。医療費の自己負担率を一挙に3割へ引き上げる世論は乏しく、質を意図的に下げることも医療者、患者ともに許容することはできないだろう。だが、質とアクセスを維持するために、医師は過重労働に陥っており、現状の医療体制を維持することは困難だ。
となると、残る選択肢は、アクセスの適正化、すなわち「賢い受診行動」への誘導だ。
アクセス制限という言葉には抵抗がある。しかし現実には、紹介状なしの大病院外来への選定療養費は、2024年に初診7000円以上に拡大し、対象病院も400床以上から200床以上へと広がった。75歳以上の窓口負担2割化も月3000円上限の配慮措置を経て、2025年9月には完全実施の予定だ。
こうしたことに加え、同一日に複数診療科を受診した際の外来減算を廃止するなどして過剰受診を抑制すれば、急性期病院の医師不足、医師の時間外労働上限の中、病院の機能を維持することができるのではないか。遠隔診療やAIトリアージを保険適用で活用すれば、質を落とさずアクセス調整が可能との試算もある。
ほかにも、健康保険組合等を通じた患者教育を行うことも必要だと思う。
もちろん、集患が死活問題の民間中小病院が多く、医療過疎地域のアクセス確保の課題も無視できない。合意形成は簡単ではなく、制度と財政を組み合わせた精密な設計が求められる。アクセス制御は「統廃合か存続か」の2択ではなく、地域の医療需要に沿ったグラデーションの施策であるべきだろう。
費用抑制のみでは国民合意を得られず、質の低下は患者の安全を脅かす。ならば医療者自らが「質を守るためのアクセス制限」という現実的な処方箋を提示し、国民と誠実に対話する時期に来ているのではないか。タブーを乗り越え、世代間公平と医療安全を両立させる─それが超高齢社会の真っ只中にある日本への私たちの責務だと思っている。」
まぁ同様にフリーアクセスそろそろあるべき姿考えてもいいんじゃない?という趣旨の文章です・・・今後同様の主張がより目につくようになるのかなと考えていますよ。だって医療に関しては質とコストはどうしても相対的にでも軽視することはもうできないですから。
今井は医療関係者も一般市民もフリーアクセスができなくなった時にどういう世界になるのか、そろそろきちんとイメージしておくべきだと考えています。
医療提供側の世界観でいうのなら
①登録制の主治医制が緩やかに始まる
②どんなかかりつけ医が選ばれるのかと言えば、これからの時代は総合診療や在宅医療をしていることが必須
③かつ、医療へのファーストアクセスとして診療時間をきちんと担保している医療機関
というのが生き残る医療機関になるのかなと考えています。なので当法人は①~③が実現したとしても生き残れる運営法人としていますよ!(^^)!
フリーアクセス制限のその次の世界はどんな世界なのか、医療者側も患者さん側も、もうそこまで考えて準備する段階にきているんだ・・・記事を読んで改めて今井は感じました。
皆さんは医療機関へのフリーアクセスの制限がでたり、かかりつけ医が登録制になった時にどう行動しますか?そろそろ住む場所も含めて考えておくべきかなと今井は考えますよ。そう思いませんか??
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