4年前の2021年、東京 文京区の順天堂大学医学部附属順天堂医院で、胆道の内視鏡検査を受けた都内の72歳の女性が、検査のあと激しい腹痛を訴えて2日後に亡くなり、遺族は、検査の方法に過失があり、事前にリスクについての十分な説明がなかったとして、病院を運営する法人と医師に賠償を求めました。
病院側は「死亡するリスクも説明していた」などとして争いました。
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です
NHKさんで医療系の裁判の記事が出ていましたのでご紹介します。7月18日の記事です。気になった部分は赤字にします↓
「4年前の2021年に、東京の順天堂大学の病院で、内視鏡検査を受けた70代の女性が2日後に亡くなったことをめぐり、遺族が病院側を訴えた裁判で、東京地方裁判所は、死亡するリスクについての説明義務違反があったとして、合わせて6000万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
4年前の2021年、東京 文京区の順天堂大学医学部附属順天堂医院で、胆道の内視鏡検査を受けた都内の72歳の女性が、検査のあと激しい腹痛を訴えて2日後に亡くなり、遺族は、検査の方法に過失があり、事前にリスクについての十分な説明がなかったとして、病院を運営する法人と医師に賠償を求めました。
病院側は「死亡するリスクも説明していた」などとして争いました。
18日の判決で、東京地方裁判所の一場康宏裁判長は「今回の検査には死亡するリスクがあったが、医師は、女性に対して検査のリスクは胃カメラと同程度のものだと理解させる説明をし、その誤信を解かないまま検査を行ったという点で説明義務違反がある」と指摘しました。
そのうえで、「女性が検査を受ける緊急性は必ずしも高くなく、死亡の危険性が適切に説明されていれば、家族と相談して検査を見送っていた可能性が高い」として、説明義務違反と、死亡との因果関係を認め、病院側と医師に合わせて6000万円余りの支払いを命じました。
一方、検査の方法に過失があったとする主張は、認めませんでした。
今回の医療事故をめぐり、女性の遺族は、検査を行った医師について業務上過失致死の疑いで告訴状を提出していて、警視庁が受理し、捜査を進めています。
判決のあと、女性の遺族が弁護士とともに都内で会見を開きました。
亡くなった女性の夫は「妻は、4人の子どもと10人の孫の中心で、太陽のように輝いていました。健康な人間が2日間で亡くなってしまい、非常にショックで、苦しい思いをしました。私と同じような思いをする方が、これ以上出ないように世の中を変えてもらいたい」と話していました。
女性の娘は「ただの検査と言われて、何の疑いもなく入院しました。たった2日で命が奪われるなんて想像すらしていませんでした。医師の責任とは何か、社会全体で改めて問い直してもらいたい」と話していました。
また、杉山真一弁護士は「遺族が第三者機関に調査を申し立てていなければ、真相究明は妨げられていただろう。判決は説明義務違反と死亡との因果関係を認めていて、画期的で高く評価できる」と述べました。
遺族の弁護団によりますと、今回行われた内視鏡検査をめぐり、説明義務違反と死亡との因果関係を認めた判決は異例だということです。
順天堂大学医学部附属順天堂医院は「当方の主張が認められず残念ですが、亡くなられた患者様へは心より哀悼の意を表します。今後の対応については、回答を控えさせていただきます」としています。
今回の裁判では医師が検査のリスクについて患者側に事前に十分説明し同意を得ていたかどうか、いわゆる「インフォームド・コンセント」のあり方が焦点となりました。
今回の医療事故のあと病院側がまとめた「院内調査報告書」では、患者への説明について「文書には病院で定めた必要項目がすべて記載されており、死亡に至る可能性も説明していて問題ない」などとしていました。
一方、今回の医療事故では国の制度に基づく第三者機関の調査が遺族の依頼をもとに行われたということです。
その報告書では「病院の説明同意書には胆道の検査の記載がなく、説明をしなかったことは適切ではない。また、説明時に家族の同席がなかったことは改善の余地がある」などと指摘されていました。
厚生労働省の医療事故調査制度の検討会のメンバーで、医療事故の被害者を支援する団体、「医療過誤原告の会」の宮脇正和会長は「院内調査の報告書の中には遺族に対するヒアリングが十分できていなかったり、医療事故に至ったプロセスが解明しきれていなかったりするものが散見される。遺族が知りたいのはなぜ亡くなったのかということだが、病院に十分話を聞いてもらえないまま説明を打ち切られると、裁判をするしかなくなってしまう」と指摘しています。
その上で、「団体に相談にくる遺族からは、国の制度に基づいて第三者機関が行った調査の報告書は事故の原因や再発防止策などが詳しく書かれていると評価する声が多い。報告書の内容に納得し、裁判はやめようと決めた遺族もいる。同じような事故を繰り返さないためにも、病院は医療事故の情報を遺族と共有することを恐れないでもらいたい」と話していました。」
今井として気になった点は以下の5つです。
①医療機関側の説明は普通はERCP関係の検査説明、同意文章では急性膵炎や死亡のリスクは記載があるハズだがそれがあったのかなかったのか、そしてそこに同意のサインはあったのかどうかを知りたい
②仮にそれが記載してありサインもあったのなら、それでも説明義務違反になるのかを知りたい
③説明時に家族の同席がないことまで責任問われるの?
④医療に伴う合併症の事例だと考えるのですが、やっぱり業務上過失として刑事事件として扱うの?これは過去の事例みても辞めるべきだと思うのですが・・・
⑤70代の方に6000万支払いが認められたってどういう計算方法なんでしょうか?
正直医療における説明義務ってどこまであるのか非常に難しいですよね。この裁判長の「説明があれば検査していなかった可能性が高い」なーんて正直無理やりすぎで、結果が悪ければ後でクレーム入れたらどうとでもなるっていう悪しき前例になってしまわないかなと。
思考をもう少し深めると今井がさらに気になっているのは在宅医療における医師の説明義務についてです。在宅医療においてはシチュエーションが本当に様々あり、基本的には医療機関のような画一的な文章なども用意はできず医療については個別性が高いことがなされています。
在宅の現場という標準的な医療というものも基本軸がそもそもファジーな場で、医療についての医師の説明義務についてどこまで求められるのか、家族の同席は、文章での同意は、などがマストになってくるようであれば、正直そこまで求められると在宅医療ってできなくなるよなと。
今後は社会的問題や金銭的問題から、望まないけれどやむなく施設や自宅で在宅医療を受けるという人が増えてくるでしょう。そうなった時に在宅医療の説明義務と医療の妥当性について、かなり社会問題化していくような気がします。
皆さんはこの事件についてどう考えますか?医療の説明義務ってどのレベルまで社会的に求めていくべきなんでしょうか?
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