資料提供~実用化の進む遺伝子治療の現状と将来展望~
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
コロナワクチンのことに関して諸々資料を探しているうちに、遺伝子治療の現状についての資料を見つけました。少し読み込んでみましたが、結構(個人的には)面白い資料と感じましたので皆さんに紹介します。
こんな文章が無料で公開されているなんて本当にいい時代ですね。
日本製薬工業協会さんより
実用化の進む遺伝子治療の現状と将来展望
「カルタヘナ法」、「カタパルト構想」など自分が知らなかったことが理解でき、かつ業界の現状把握もできたんでよかったです。今回のコロナ禍の影響で今後の創薬などを劇的に進化させるためにもここら辺の整理って絶対必要になりそうですね。
特に興味深かった部分、おわりにのところだけ抜き出します。赤文字は今井が気になった部分
おわりに
ここまで、遺伝子治療に関わる基礎研究から実用化研究・臨床試験の動向を概観し、海外と対比しながら日本の現状と課題そして課題対応策につ
いて考察した。海外に対して遅れをとっている現状が明らかになる一方で、この遅れを挽回するべく日本国内で様々な策が講じられつつある姿も見えてきた。基礎研究の進展や充実の必要性という点では、これらは依然として世界共通の課題であり、医療応用のために遺伝子治療を一層確度の高いモダリティへと洗練していくため、さらなる科学的・技術的なブレークスルーが求められる。具体的には、遺伝子発現効率の向上(投与量の低減)、遺伝子発現の制御(発現量や発現時間の最適化)、毒性メカニズムの解明と毒性回避手法の確立、標的指向性の付与(全身作用型や組織選択型のデリバリー)、細胞培養方法を含む高品質な製造方法の確立、またこれら課題を総合的に解決することによる治療に必要な医薬品製造コストの大幅な低減など、を解決する必要があると考える。これらのハードルを越えることが出来れば、基礎研究成果が業界内での競争力の源泉になるとともに、場合によっては現状では生涯飲み続けなければならない医薬品を一度きりの投与で治療することが可能な遺伝子治療へと置き換えられるなど、他モダリティに対する優位性獲得にもつながるかもしれない。以上のことから、遺伝子治療の研究開発の推進は、製薬企業の成長や製薬産業全体の発展においてキードライバーとなりえるのではないだろうか。
最後に「なぜ“日本で”遺伝子治療の研究開発を推進するべきか」について、日本の将来のあるべき姿を考察してみたい。1点目は、「日本特有の
遺伝子変異に基づく疾患に対する遺伝子治療は、日本自ら開発する必要がある」ということである。海外での研究開発成果に頼っていては、従来型のヘテロな患者層に広く使用可能な医薬品とは異なり、国内の患者層向けの治療薬は創製されないことも想定され、ドラッグラグよりも深刻なドラッグロスへと繋がりかねない。2点目は、「遺伝子治療の技術は、希少疾患だけでなく様々な疾患へと応用可能」ということである。希少疾患への応用だけであれば、多大な失敗リスクを伴う研究開発投資に見合う利益が得られない可能性がある。しかし、希少疾患に対する治療薬の研究開発では、製造面や臨床試験の規模を比較的小さく抑えることが可能であり、この一連の研究開発の経験を糧にして、より大規模な患者層を対象にした治療薬の創製へとスケールアップ/ステップアップしていく流れは、ビジネス的観点でも合理的/効果的ではないだろうか。特に重要な点として、「本技術は新興感染症のワクチン開発にも応用可能」ということが挙げられる。新型コロナウイルス感染症に対する国産ワクチンの開発の遅れを反省材料として、有事の際には速やかに国産ワクチン開発に着手できるように技術開発を進めるべきであり、日本国民の生命や健康を日本の技術を用いて守ることは、国家安全保障の観点からも重要な施策となるだろう。
どうでしょうか?皆さんも楽しんで読んでいただけましたか?また何か面白い資料あればご紹介したいと思います。
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