公開日:2020年05月30日

茨戸アカシアハイツにおける医療提供について思うこと

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

茨戸アカシアハイツの件について、関西の在宅医の長尾先生が言及しておられましたので札幌の方は一読してみてください。

「アカシアハイツ」を考える

気になった文章を抜き出すと

「・・・ さて、北海道のケースは、「保健所を通さなかった」ことが問題だと思いました。しかしそうではなく、保健所長さんが「みとり」を指示したとのこと。高齢者は十人十色、百人百色で、施設に入っているからと言って、医者が勝手に判断をすることは絶対に許されません。本人と家族の意見を尊重し、保健所の意見を聞きながら。管理医師が看護師と介護スタッフにしっかり手当を指示して施設内で様子を見た結果、亡くなられたのなら仕方がないでしょう。しかしどうではなかった。そして集団感染で巻き添えを作ってしまった。高齢者はコロナの致死率が若者の100倍も高いのでとにかく集団感染による巻き添えが怖いのです。感染の有無を確認すれば「施設内の隔離」や「それなりの防具」にも濃淡がつけられたはずです。

病気の種類を問わず施設内で看取ること自体は問題ありません。しかし北海道の事例は本人や家族と相談せずに、保健所の判断だけで勝手に看取りをした点は検証の余地があります。どんな状況であれ助けられる命は全力で助けることが医療の基本です。そのためには、「診断」と「隔離」につきます。隔離の徹底で救えた命があるはずです。慎重かつ丁寧に判断・行動すれば、間違いなく何人かは助けることができたでしょう。状況が落ち着けば是非、この北海道の事例を市民と在宅関係者で十分議論すべきです。それが第二波に備える、という意味です。また亡くなられた15人の高齢者への最大のご供養だと思います。

*ちなみに別の記事はこちら↓

【コロナといのちの選別 感染で隔絶された人々】”現場医師”「絶望的でどうしたらいいか分からなかった」

 

 

 

個人的には、札幌の現状として入院できる病院がすぐにみつからないという点に関しては仕方ない面もあったでしょう。問題は文中にあるように「本人や家族と相談せずに、保健所の判断だけで勝手に看取りをした点は検証の余地があります」という点かなと思います。

かりに状況として入院できない、施設内で療養するしかない方針であったとするならば、当初よりきちんと患者さん家族に「他に行けるところはない、病状悪化するリスク、陰性者にとっては感染が拡大するリスクはあるかもしれないがここで隔離した状態で療養をつづけてもらうしか方法がない」と保健所なり市なりが陽性患者、陰性患者ともに説明すべきだったと思います・・・・

ということで茨戸アカシアハイツにおける医療提供について思うことをパラパラと書いてみました。あくまで個人的な意見で誰の責を問うわけでもないですし非難するつもりもありません。長尾先生の末尾にあるように今回の経験が第二波に備える上で役に立てることが亡くなった方へできる唯一の追悼かと自分も思います。皆さんは上記について何か思うことはありますか?

 

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