公開日:2019年07月31日

札幌の地域包括ケアに関する最近の2つの記事を読んで考えたこと~当院が何を目指すべきか~

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

 

札幌市の在宅医療や地域包括ケアに関するニュースはできるだけ公にされているものから得るようにしています。(それ以外にも人と人とのつながりで得られる情報も大切にしていますが)

その中で2点気になる、というか時代の流れがわかるニュースがありましたので提示します。

北海道リアルエコノミーから

カレスサッポロ、医療・高齢者施設・物販飲食の複合ビル「プレミアムガーデン北円山」9月着工

<社会医療法人カレスサッポロ(本部・札幌市中央区)は、札幌市中央区北4条西18丁目8ー1に仮称「プレミアムガーデン北円山」を建設する。女性専用クリニックモールと高齢者施設、物販店、飲食店を併設した8階建て複合ビルになる見込み。

北4西18の北5条手稲通沿いにある約1011坪(3339・20㎡)の土地は現在、時間貸し駐車場「タイムズ北4西18」として活用されている。元々は旧国家公務員宿舎桑園住宅跡で、北海道財務局が2014年6月に実施した一般競争入札による売り払いで賃貸オフィス、賃貸マンションのキタコー(本社・札幌市中央区)が6億8000万円で落札していた。
キタコーは、その後カレスサッポロに転売、カレスサッポロは活用策が具体化するまで時間貸し駐車場として活用していた。

9月初旬に着工する「プレミアムガーデン北円山」(仮称)の建築面積は約868坪(2865・02㎡)、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の8階建てで高齢者施設の戸数は60戸。延べ床面積は約4276坪(1万4113・85㎡)、建物の高さは31・28m。

設計、監理はカミトリュウジ建築設計事務所(札幌市中央区)、施工は西松建設(本社・東京都港区)札幌支店(札幌市北区)。建物内には、施設に入居する高齢者を雇用するパン工房も設置予定。>

 

もうひとつはこちらです。m3から

つしま医療福祉グループ 大学・病院・介護施設 月寒に拠点集約、認知症研究・治療を推進

日本医療大を運営する、つしま医療福祉グループ(対馬徳昭代表)は、同大と札幌月寒病院(大友透理事長・92床)の移転新築を計画している。医療と介護、教育、研究の拠点を1カ所に集約することで、同大が進めている認知症対策の取り組みを本格化させ、メカニズムの解明や予防・治療法の開発など、同症の制圧を目指す。

同グループの母体である社会福祉法人ノテ福祉会は、87の事業所を運営。そのノウハウを生かしつつ、健康、福祉への寄与を目的に、2014年の同大開学時に認知症研究所を設置している。

日本生命財団から、「認知症介護支援者の小規模な介護事業の新たな展開に関する研究」で研究費助成を受けているほか、「酵素処理アスパラガス茎抽出物の軽度認知症に対する臨床効果の検証」「認知症高齢者への『理想的ないす』の研究」で、民間企業からの委託研究も進めている。

大学は、保健医療学部看護学科、診療放射線学科の真栄キャンパスと、リハビリテーション学科の恵み野キャンパスを統合して、豊平区月寒東3条11丁目に移転。建物はRC造4階建て延べ3万2237平方メートルとなる。

一方、札幌月寒病院は、大学同一敷地内に移転し、「日本医療大学病院」(仮称)へ改称。規模は、RC造4階建て延べ8703平方メートルで、病床数は92床と変わらないが、神経内科やリハビリテーション科のほか、物忘れ外来を新設して、認知症治療体制の整備を予定している。病棟は、現在の一般病棟を一部残して、地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟に転換、認知症治療を中心に、幅広い医療ニーズに対応していく。

さらに、同病院に併設する形で、看護小規模多機能型居宅介護を備えた100床規模の高齢者施設「日本医療大学リハビリ」を新設予定(20年札幌市公募に応募)。現在、ノテ福祉会の高齢者施設、居宅サービス等を利用している約2千人の半数程度の協力も得つつ、大学、病院、介護施設が一体となって、研究、臨床、教育の各分野で認知症研究・治療を推進する。

同施設では、デンマークやスウェーデン、ドイツなどさまざまな国で定着しているスヌーズレン療法を導入する。興奮状態にある認知症高齢者の五感に刺激を与えることで、穏やかな状況に戻したり、認知機能の回復を促す療法で、毎年、海外に研修派遣しているスタッフも、この療法に直に触れている。

対馬理事長は「グループのスケールメリットを生かした各種取り組みでしっかりと結果を出し、全国に情報発信していきたい」としており、21年4月のオープンを目指し、各種申請等が済み次第、迅速に着工する考えだ。>

 

 

両者の記事で自分が考えたことは、これからの札幌における在宅医療や地域包括ケアは、本格的に医療法人や社会福祉法人が自身の事業の将来をかけて取り組み、法人内での医療や介護の完結を目指していくだろうな、ということです。

これからの札幌の在宅医療や地域包括ケアは中小の医療法人や病院、社会福祉法人、グループ企業が主体となっていくでしょう。そうなるとどうしたって患者さんをグループ内で囲う体制になっていくのが目に見えている気がします。(急性期→回復期→老健→施設入所、もしくは在宅復帰して自グループの事業所利用→急性期、など全て同じ事業所内でしか患者さんが移動しない・・)

個人的にはそうなると一番不利益を受けるのは、選択肢が少なくなる患者さんやその家族になるのは間違いない、と思っています。(皆さんも病院や居宅の担当者から○○病院に行きましょう!って言われて拒否できる人ってあんまりいなくて医療者に任せてしまうことありますよね。)

 

 

うーん・・・・令和の時代=患者さん囲い込みの時代、となりそうな時に個人の在宅クリニックで何をすべきか・・・・自分の考えとしては上記とは全く逆で「患者さんをあえて囲わない」ことが一番大事ではないかと思います。(人の逆を行くのが好きなだけでは?なーんて言わないでください)

無理に囲おうとしないことで患者さん家族の選択肢が本当に豊富になるし、何よりそれにより一番ベストな療養や在宅医療の選択肢を提示することができる。結果として患者さん家族の満足度が上がり当クリニックを他の事業所より信頼してくれるのではないか、と思っています。

そのためにも重要なのが市内の情報を隈なくもち、色んな事業所と連携をとれるMSWの存在・・・個人の小さなクリニックであるからこそ間接部門のMSWさんを大事にしていかなきゃな、と改めてこの記事を読んで感じましたよ。

 

 

などなど、こんな感じでこれらの記事を読んでみました。皆さんはこの記事を読んで何を考えましたか?何か気になる医療記事などありましたら教えてくださいね。

 

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