公開日:2019年05月28日

あなたのかかりつけ医は社会的処方をしてくれますか?

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

突然ですが皆さん社会的処方って知っていますか?医師が診察し薬の処方せんをだすことが一般的な医学的処方だと思いますが、英国などではかりつけ医が患者の健康やウェルビーイングの向上などを目的に、患者を地域の活動やサービス等につなげる社会的処方をだすことが行われつつあります。

よくわかる資料があるので提示します。

損保ジャパン日本興亜総研レポート 英国で取組みが進む社会的処方

少し抜粋すると

「2.社会的処方が行われる背景
(1)社会的課題への対応
社会的処方が行われる背景として、医学的な治療に加え患者が抱える社会的課題への対応が必要と考えられるようになってきたことが挙げられる。患者の健康やそれを自己管理する能力は、社会的孤立、雇用、金銭問題など様々な要因によって影響を受けるとされ、それは、医療従事者による従来の伝統的な診療の範囲を超えている。所得や社会とのつながりなど、健康に影響を与えるとされる社会的な要因については、健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health)と呼ばれている。調査研究では、この社会的な要因を含め、臨床的な要因以外の様々な要因が、健康に影響を与える要因の 57%~85%を占めるとの推定もある19,20。英国政府は、NHS イングランドは健康に影響を及ぼす可能性のある社会、経済、環境など様々な要因に対処するのに役立つ社会的処方サービスをサポートしている、と述べている21。
GP を対象にした調査によると、GP の 4 分の 3 が、1 日に 1~5 人の患者が孤独を理由に診療所にくると回答しており、これは、医学的に不調なのではなく孤独であるという理由で診療所を訪れる患者が、GP の診療所にくる患者のうち 10 人に 1 人存在することを意味するとされる。なお、孤独を理由に診療所にくる患者が 1 日に 6~10 人いると回答した GP は 12%、10 人超と回答した GP は 4%である22。英国政府は、2018 年 10 月に公表した孤独に取り組むための政府の戦略「A strategy for tackling loneliness」の中で、孤独を感じる人々が必要とされる適切な支援を得ていない可能性があると指摘しており、一つの解決策として社会的処方を普遍化していくとしている」

 

・・・・などなどの面白い内容です。是非興味ある方は一読ください。

もっと興味ある方は以下の記事もどうぞ!

美術館が「治療」の場に、北米で広がる社会的処方の取り組み

 

まぁ医師の側からの視点でかいつまんで言えば「かかりつけ医たるもの患者さんの医学的な側面にのみ焦点をあてるのではなく、患者さんの生活全般に興味をもち。よりよい人生をおくれるように医学的、社会的な介入をしていくべきだよね。」ってことだと思います。

ただこれってでも医師一人で行える業務ではないですよね?

ということで当院の外来診療の現場では、医師のみならず看護師やケアマネ、MSWなどがチームとして関わり、できる限り診察のみならず患者さんや家族の社会的な問題を取り除くように関わっています。やっぱ社会的処方にはチーム医療が必須ですよね、どんどん取り組みたいと思っていますよ!!

表題のようにかかりつけ医が社会的処方をしてくれますか?というのは一見的な側面で、これからはチームで患者さんの医学的処方、社会的処方両者を処方できるかかりつけ診療所が必要とされていくんでしょうね・・・皆さんのかかりつけ医(かかりつけ診療所)は広義の意味での社会的処方をしてくれますか?よければご意見くださいね。

 

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