公開日:2018年06月21日

【退院調整を行うMSW、退院調整看護師さんへ】在宅への退院調整を行う時にチェックしてほしい10のポイント

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

連日外来&訪問診療行っていますが病院から帰ってくる患者さんに関しては退院時カンファレンスは特に重視して行っています。今年は大体5か月で既に65回・・・色々なカンファレンスにでて退院調整のMSWさんや看護師さんと話をしていると、どのように退院調整をしていったらいいのかまだ少し迷っている担当者の方がいましたよ。特に4月に異動してきた方はそうですよね~。

ということで本日は、在宅医からみて在宅への退院調整を行う時に病院側の担当者にチェックしてほしい10のポイントを書いてみたいと思います。少しでも参考になればと思いますのでサクサクとみてみてくださいね~

 

退院調整の時にチェックしてほしい10のポイント

①まずは本当はどうしたいのか、患者さんや家族の意思を自分できちんと確認しましょう。

ここすっ飛ばして退院調整する方もいますが、当たり前ですがきちんと確認しましょう。実際転院したけれど自宅に帰りたかったから当院に転院した後に紹介される、っていう事例結構あります。

また在宅に紹介されたけれども、本当は退院したくなかったんだ、病院から帰れって言われたから止む無く帰ってきたんだ~、っていう人も結構います。

病棟の医療者に言えてないことももしかしたら退院調整の人にならしゃべってくれることがあるかも・・・・是非本音を聞いてあげてください。

②病状によって調整の仕方を変えましょう。癌などの終末期疾患の場合はとにかく急げ、慢性期はしっかりと準備してから

退院調整にかける時間の認識は病状によって変えましょう。がん患者さん、心不全患者さんなどの終末期の患者さんの退院調整であれば、全ての準備を整うまで待つ、というのではなくできるかぎり早く一度カンファレンスをすることを目標に調整すべきです。

逆に脳血管障害の患者さんや骨折後の患者さんなどでは急ぐよりもきちんとしたケア体制を整えてあげることを優先して考えるべきです。

病状によってどう調整したらいいのか、その仕方を変えてみてください。

③自宅に帰れるか帰れないか微妙な時は一度カンファレンスを開催しよう

こういう患者さんは結構多いかと思います。

帰りたいけれどどうしても医療処置が気になって帰れない、もしくは帰って生活できるかどうかが不安、などなど・・・・

微妙な判断が必要だなと思う時は一度カンファレンスを開催して在宅側の意見も聞いてみましょう。患者さんの考えが変わったり自信を持てたりしますから。

カンファレンスって本当にたくさんの関係者が集まりますよね、患者さんや家族ってその集まった多数の人数みるだけでも安心するんです。

④医療者の希望、考えで動くのはやめよう!

退院場所や時期の調整、そもそも帰れるかどうかの判断も含めて医療者の考えや希望で動いている調整、ままあります。

医療者の考えも尊重されるべきですが一番優先されるものは何か?を明確にしておきましょう。

もちろん患者さんや家族の意思ですよね~。

⑤癌=ホスピスや緩和ケア病院っていう短絡的な調整はやめましょう

①や④と共通していますが、癌の患者さん=ホスピスに転院や紹介、緩和ケア外来で経過みて最期は入院、っていう選択肢があまりにも短絡的にありすぎます。

無理して通院しなくても色々なサービスを受けられること、一度自宅に帰るという選択があるということを多少時間はかかっても是非患者さんに提示してあげてください。

あと通える人は在宅をやっている診療所の外来に紹介するっていうのも手です。

とにかく短絡的に癌の患者さん=ホスピスへの転院や紹介、っていうのは絶対やめてくださいね。

⑥病院と同じ医療ができないといって在宅復帰をあきらめないようにしましょう

中心静脈からの点滴、皮膚ケア、疼痛の治療やケア、薬物治療や各種処置など・・・病院にいれば「この処置は病院でしかできない」と思ってしまいがちです。

確かに全く同じことはできないかも知れませんが、在宅の医療者は同じようにするための知恵と経験を持っています。

難しい医療処置があって在宅に帰るかどうか決めかねている患者さんいたらまずは在宅医療者に声をかけてみるのがいいのではないでしょうか?

⑦自分ですべての事業所を決めるのではなく軸となる事業所を決めて底と相談していきましょう

退院調整カンファレンスをする時に担当者によっては全ての事業者を病院主導で決める方がいます。それはやめたほうがいいです。

まずは軸となるサービス担当者を決めて(訪問看護?ケアマネ?在宅医?)その軸となる担当者と相談して他のサービス事業者を決めましょう。

自分の考えでは訪問看護が主軸となっていいような気がしますが・・・・全て自分で決めるのではなく是非在宅医療側の意見も聞いてみてくださいね。

⑧バックベットの確認は必須です

これは在宅医療者にとっても大事ですが、自分としては患者さんや家族が安心して帰るためにもバックベットをどうするかは重要です。

仮に調整する病院が何らかの事情で受けられないならそれはそれで仕方ないので早めに在宅医療者に意見を聞いてバックベットをどうするかは考えておきましょう。

⑨不安をとるように支持的な態度で励ましてあげましょう

退院に対しての患者さんや家族の不安な気持ちをとるケアは、在宅医療者にあう前に退院調整の担当者から始まっています。退院調整看護師のみならずMSWなども積極的に不安をとるように接してあげてください。

⑩余裕があれば「在宅医療側の立場」から考える癖をつけてみてください

これは在宅医からのお願いですが退院調整担当者にはこの視点を身に着けて欲しいです・・・

例え転院調整であったとしても「在宅医療者からみたら自宅に帰れるんじゃない?っていわれないかな」とか「在宅医療者ならどんな情報を欲しがるかな」っていう考えはどこか心の片隅で持っておいてほしいですね。

意外に「あれ?これって転院じゃなくてもよくない?」って思える患者さん、いるはずです。

ちょこっとでもいいのでそんな考えをもってもらって退院調整してもらえると患者さんにとってもいいんじゃないかなって思っています。

 

と何となく10個のポイントあげましたが、これを全ていきなりするのは難しいかも知れません。せめて2、3個だけでも覚えておいて実践してもらえいたいですね~、退院調整の看護師さん、MSWさん、期待しています!!

 

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