公開日:2018年03月25日

相変わらず将来の医療の見通しに対しての日本慢性期協会のコメントが的確すぎる件

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

いやー、日本慢性期協会の定例記者会見のコメント、いつも定点観測の一つとして読んでいますが今回の内容も将来を見通す上での慢性期サイドからみた視点がよく理解できますね。

ともすれば僕ら医療者は急性期医療者の視点から医療制度や行政について考える癖がついていますが、逆側からの視点っていうのも非常に将来を予想、思考していく上で重要なんですよね。

今回の記者会見の内容で今井が個人的に気になった文言だけ少し書き出してみたいと思います。時間ある人は是非全文読んでください。

「25対1は介護医療院には行かず、20対1へ」── 3月8日の定例記者会見

「介護療養病床のほとんどが介護医療院に移る。25対1は介護医療院には行かず、上を目指して20対1への転換を予定している」──。日本慢性期医療協会は3月8日の定例記者会見で、今年2月に実施した「介護医療院への転換に関するアンケート結果」を示しました。会見で武久洋三会長は「4月からの半年間は様子を見ながらになるだろう。移るとすれば9月ごろからではないか。ほかの病棟などについて同時改定による影響を見た上で介護医療院に移るというステップを踏む所が多いと思われる」と見通しました。

[武久洋三会長]
ようやく同時改定も終わり、詳しい通知も出た。各病院は収支がどうなるか気になるところだが、今回の改定は基本的にアウトカムを出す、よくやった所を評価するというポリシーが明らかに出ている。逆に言うと、一生懸命に今までやってきた病院は大丈夫だろうというスタンスで皆さん、とらえているようだ。

われわれがもともと言ってきたような嚥下リハビリ、排泄リハビリ、低栄養・脱水など、いろいろなことが介護保険にも導入されている。リハビリテーションの評価をはじめ、いろいろな面で非常に大きな改定だが、日慢協が基本的なこととして常に実践してきたことを折に触れ、いろいろな所で発表してきたことで、お目に留まったことがあるとしたら非常に幸いだ。

いよいよ7対1の山を崩すことになる。7対1は30万床くらいあると思うが、本当の急性期医療を提供する場として国は考え、10対1との差をつけようとしている。地域の一般病棟ということで、13対1や15対1は地域包括的な部分を担うことになる。将来を見渡すと、7対1だけが急性期になり、10対1以降は地域包括、昔でいうサブアキュートのような病床に持っていきたいのだろうという思いが表れた改定である

一方、慢性期医療については、慢性期の治療をする所でなければいらない。20対1には当然、重症の患者さんがたくさんいる。われわれの協会の会員病院の多くは20対1である。25対1は2016年まで医療区分の50%の条件がなかった。このため、状態の軽い人を入院の対象とし、20対1と1日650円の差で非常に楽な経営をしてきた療養病床の25対1もあったと思うが、今後はなくなっていく方向だろう。

平成30年度改定では、7対1・10対1の一般病棟入院基本料が再編・統合され、「長期療養」「長期療養~急性期」「急性期」の3区分となった。

スライド16

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真ん中の部分は「長期療養~急性期医療」としている。「回復期」とは書いていない。その理由は、17ページのように考えると分かる。

スライド17

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18ページ。現状は、「高度急性期」「急性期」が77.2万床、2025年の推計では53.1万床となっている。

スライド18

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これを見ると、急性期を約25万床減らしたいということが分かる。この25万床は回復期に持っていきたいと思っているのだろうが、回復期はやはりリハビリテーションというイメージが強く、急性期の病床は回復期になかなか移ってくれない。

今後は、7対1の山、10対1の山が崩れ、地域包括ケア病棟になり、だんだんとそちらにシフトしていくという形で、厚労省が計画している急性期病床の削減方向に動いていくと思われる。

 

ということで慢性期側の医療行政担当者が今回の改定を読み込むと

病床は7対1とそれ以外は地域包括ケア病棟、あとは慢性期病床と大きく分類されていくはず

と考えていることがこの資料からよくわかりますね。ちなみにそうなるとどうなるか・・・えぇ、7対1以外の病院から徐々に大量の看護師や医師が地域にでてくることになるはずです。そのインパクトの大きさは地域にとってより医療職自身への影響の方が大きいと予想しています。

自分はそうなった時の将来を予想して行動していきますが、医師や看護師の皆さんもうかうかしていると医療をとりまく社会の変化においていかれますよ~、皆さん準備できていますか?

 

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