公開日:2018年03月12日

ALSの患者さんはどのタイミングで神経内科医とかかりつけ医/在宅医との併診とするべきか

こんにちは、札幌で神経疾患の在宅医療も積極的にしている医師@今井です。

ALS関連のニュースでこんなのをみつけました。エダラボン(ラジカット)ついにヨーロッパ進出するんですね。効果ば確かに効く人には効きますからこれは良かったですね。

田辺三菱製薬、ALS治療薬を欧州展開 EMAと事前交渉開始

ラジカット、と言えばいつまでも神経内科の外来に体力使い切りながら通院して点滴受けている患者さんいますよね。そんな経過をたどってきた患者さんを見る度にいつもこんなことを思います。

ALSの患者さんはいつまで神経内科のみに通院をするの?

最後まで神経内科のみに通院し続けるのは正直良い選択ではないです。どこかの段階で神経内科以外のかかりつけ医/在宅医をつくり徐々にそちらにシフトしていくことが必要でしょう。ただ現実ぎりぎりまで神経内科に通いたい患者さんor他の医師に手放さない神経内科の先生もいることは事実です。

患者さんに聞きたいのは<いつまで神経内科のみに通院すべきと考えていますか?>ということ・・・

逆に神経内科の先生には<どのタイミングで患者さんを他の医師(地域の医師)に任せていきますか?>と聞いてみたいですね、この問いに明確に答えられる神経内科医はいるでしょうか?

かかりつけ医、在宅医と併診するタイミング

自分はALSの患者さんが地域にかかりつけ医/在宅医をもち併診するタイミングは以下の時ではないかと思います。

①ラジカットの点滴を導入し2回目以降をしていくとき

②訪問看護、リハを導入するとき

③胃瘻を造設するとき

④何らかの医療的なケアが必要になった時

⑤メンタル面や家族面でのサポートが必要になった時

⑥障害や介護のサービス、どちらかを導入する時

いかがでしょうか?皆さんはどう考えますか?他にどんなタイミングが考えられるでしょうか?

過去に経験した、限界まで紹介されなかった症例

自分が経験した、限界まで在宅医に紹介されずに可哀そうであった症例を2つ程提示。

①70代の女性、呼吸筋優位のALSで発症。何とか動けるが呼吸苦強く通院先の神経内科のDrが訪問看護を導入するも医療的ケアのための必要な物品や薬剤もなく訪問看護も十分な医療的ケアできず。そんな形で2,3か月後にさらに呼吸苦悪化、CO2が60代後半となりADLもほぼほぼ全介助の状態となりこの段階でようやく紹介。

往診するもすでに末梢チアノーゼで呼吸苦で動けず。夜間不眠もあり体調悪く食事もほぼとれず。すぐにHOT導入しモルヒネの調整、夜間不眠などにも内服薬調整し呼吸苦や不眠の症状緩和はある程度できたが家族のサポートまでは十分には不可能であった。その後意識状態悪化し診療開始後2週間程でお看取りに。

もっと早期から関われば充分な苦痛のケアや家族へのサポートなどができたはず、在宅の医療者には悔いが残った患者さんであった。

②前頭側頭葉型認知症を併発した80代の男性のALS患者さん。この方はALS症状もそうだが認知機能の低下による問題行動の方が原因であったが、神経内科主治医のみが診察しており訪問看護の導入もされておらず。ケアマネはいたがデイやショートの利用調整が主体で家族の介護負担の軽減は十分にはできていなかった。

嚥下障害進行し食事量も低下した段階で誤嚥性肺炎併発、そしてようやく訪問診療の依頼があった。すぐに訪問看護も導入し妻の介護負担の軽減やサポートを行ったが病状急激に悪化しそのまま2週間ほどで看取りに。こちらももっと早期から介入すれば妻の負担を減らしいい思い出をつくってあげれたのかと思う。(実際看取り後は妻は介護の思い出はそれはそれで良かったとは言っていたが、涙ながらにつらい思い出が多かった、もっと楽しい時間を過ごしたかった・・・・)

 

 

神経内科の先生をけっして否定する訳ではないですが、通院のみでは解決できない問題は往々にして存在します。そんな時には視野を広くもってかかりつけ医/在宅医を利用されてみてはどうですか?皆さんのご意見はいかがでしょうか?よかったら教えてくださいね。

 

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