公開日:2018年03月05日

心不全末期の患者さんの在宅医療のポイント~ASVの使い方も含め

こんにちは、本日も外来からの訪問診療行っている札幌の医師@今井です。

さて以前腎不全末期の患者さんの在宅療養について簡単に書きましたが今回は心不全末期の患者さんの在宅療養について書いていきたいと思います。

心不全末期の患者さんの在宅療養のポイント

①訪問看護をうまく利用しよう

心不全が進行してくると医療的なニーズや身体評価の必要性が増大するため患者さん自身の支援はもちろん必要ですが、家族の方の心理的なサポートも十分に求められます。ヘルパーさんだけでは解決が難しいスピリチャルケアの問題や家族ケアも看護師さんであればきちんとしてくれますので後述するような手段も使いつつできるだけこまめに訪問看護を入れるように心がけましょう。

②リハビリの評価とケアを大切に

フィジカルアセスメントの評価及び非薬物的な緩和ケアを行うためにも呼吸リハに精通したリハビリセラピストは必須と考えていいでしょう。また移動の負担をどう軽減するか?やASVの管理などにおいても効果的なアセスメントとアドバイスをくれると思いますので訪問リハはうまく活用していきたいところですね。

③ASVの導入も検討していこう

心不全末期の患者さんは経過でどこかで入院加療はされていると思います。どのタイミングでもいいですのでASVの導入を積極的に病院担当医と相談してください。単純に心負荷の軽減ももちろん望めますが、ASV導入により患者さんが訪問看護の別表7に該当するようになりますので医療保険での訪問看護が可能になります。それによりこまめにケアが入れるようになり、かつ介護保険の点数を他に回せるようになるためASV導入の価値は単純に医療処置の範囲を超えて重要になってきます。是非入院中に導入をすすめましょう。

④ヘルパーさんはこまめに、かつ医療的なことが理解できるところが吉

医療保険で訪問看護が入れれば一番ですがやはり入れても入れなくても医療的な知識をある程度もっているヘルパーさんの利用が一番いいかと思います。おすすめは障害などでALSなどの患者さんもみているヘルパーステーションですね。麻薬の使用や終末期のケア、ASVなどの呼吸器の使用なども慣れているため可能であればそのような事業所を探しましょう。(となるとケアマネさんの選択も重要ですね)

⑤ハンプは使用しない??

退院ぎりぎりまでハンプを使用して帰ってくる患者さんがいますが基本的には在宅ではできる限り持続注射はしないように調整ができたほうがいいかなと思います。ポンプついているとADL制限も出てきますしね。

また医師の訪問時に使用したとして保険請求できますが、基本的にはグレーな医療事務処理になります。症状詳記も必須です。

っていうことで24時間のハンプ持続注射を絶対しなければいけない、という状況でないならば、しないで限られた時間でも穏やかな雰囲気で療養する選択肢の方が良いと思います。

ただどうしても必要なら点滴継続して帰ってくる、それもありだと思いますし実際にはイノバンやドブトレックスなどと併用し使用している人も結構いますからね。

⑥点滴も可能な限りしない

これは他の終末期の患者さんと同じかもしれませんが意識障害がでたり経口からとれないような状態になったりしたりしても、基本的には脱水補正のための点滴はしない方がいいかなと思います。

⑦モルヒネは本当に少量から

経験上ですがCO2たまっている状態ですし、かつ腸管の動きも右心不全で悪くなっていることが多いためモヒなど使用すると副作用が通常より強くでる印象ありです。(ここは他の先生の意見も聞きたいですが・・)自分としては心不全の患者さんにオピオイド使用するときはALSの患者さんと同じくらいに少量からと考えています。

⑧食事は塩分を気にしないで

こんなこと書いたら入院中に一生懸命治療してくれた循環器内科の先生から怒られるかもしれませんが、自宅復帰した後は筋子だろうがタラコだろうがかつ丼だろうがラーメンだろうが、はたまたワインでも日本酒でも好きなものを飲み食いしてもらっていいかと思います。だって最後くらい好きなもの食べて死にたいじゃないですか・・皆さんは自分が逆の立場ならどう考えますか?

 

以上在宅医が考える心不全の患者さんの在宅療養のポイントでした。経験上レスパイトの使用はなかなかハードルが高い印象ですが・・・・どうでしょうかね?

皆さんのご意見はいかがでしょうか?よければ教えてください、みんなで考え経験を共有していきましょう!

 

現在医師募集中→こちらをどうぞ!

外来や訪問看護、地域で活動したい看護師さんも→こちらをどうぞ!

 

このエントリーをはてなブックマークに追加