公開日:2018年02月07日

地域包括ケア病棟が在宅療養支援診療所と並ぶ在宅医療の拠点に~国の方向性とそれに伴う問題点について

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

診療報酬の改定ですがようやく全貌が見えてきましたね。色々言及したい部分はありますがひとまず在宅の分野でおやっ?って思ったところを取り上げてみたいと思います。

そうです、地域包括ケア病棟についてです。

今回の改定でどうなるかひっそりと注視していたのですがその内容がなかなか面白いことになっています。

まずは資料をみてみましょう。

 

この中で今井が考えるポイントを抜粋します

①当該病棟において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合
が7割以上であること 

② 当該病棟に入棟した患者のうち、自宅等から入棟した患者の占める割
合が1割以上であること。 

③ 当該病棟において自宅等からの緊急入院患者の受入れが3月で3人以
上であること。 

④ 以下の a、b、c 又は d のうち少なくとも2つを満たしていること。
a. 当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料の算定回数が3月で
20 回以上であること。
b. 当該保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住
者訪問看護・指導料又は精神科訪問看護・指導料Ⅰの算定回数が3月
で 100 回以上、又は同一敷地内の訪問看護ステーションにおいて、訪
問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費の算定回数が3月で
500 回以上であること。
c. 当該保険医療機関において、開放型病院共同指導料(Ⅰ)又は(Ⅱ)
の算定回数が3月で 10 回以上であること。
d. 介護保険における訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、介
護予防訪問看護又は介護予防訪問リハビリテーション等の介護サービ
スを同一敷地内の施設等で実施していること。 

⑤地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の施設基準について、地域
包括ケアシステムの構築を推進する観点から、訪問看護サービスを併設
している医療機関についても、要件の一つとする

 

上記5点ですがこのポイントを皆さんはどう考えますか?

自分はこの内容を国が地域における在宅医療のメインキャストを在宅療養支援診療所から地域包括ケア病棟にシフトさせるつもりなんだな、っていうメッセージと受け取りました。

例えるなら

地域包括ケア病棟を整備する=幹線道路をつくる工程

在宅療養支援診療所を整備する=路地の道路を整備する工程

っていう感じですかね。今回の改定で国はようやっと在宅医療における幹線道路つくりに着手したと感じます。

ただここでも問題はいくつかあります、例えば地域包括ケア病棟での自宅復帰率はどうなんだとか救急受け入れはどうするんだ、などなど・・でもこれらはそんなに大きな問題ではないと思います。2,3年すれば問題なく病院なら対応可能となるでしょう。

今後の地域包括ケア病棟における一番の問題、それは訪問看護及び訪問看護ステーションの問題です。

なぜか?

それは訪問看護が現在は介護保険が主流であり基本的にはどこの訪問看護を導入するのかは地域包括ケア病棟のスタッフは主導権がない点です。

地域包括ケア病棟を退院する→そこの訪問看護を利用する

まずこれはありえない選択だと思います。おそらく地域包括ケア病棟併設のステーションの看護師さんは訪問看護に慣れていないでしょうからケアマネさんが好んで利用することはないでしょう。たとえ導入したとしても24時間の対応の問題や質の問題などで在宅医やケアマネさんから「やっぱり他にしようか」ということになるはずです。

つまりしばらくの間は地域包括ケアからの訪問看護=ほぼないに等しい状況

となると予想されます。

訪問看護がケアマネから医師、医療主体でできるようになればまた別でしょうがそこまでの制度の変更は難しいような・・・・・

 

まあということでポイントをまとめます。

①地域包括ケア病棟が在宅からの患者さんの受け入れをするようになり、かつ自宅復帰率も増えてくる流れとなる

②訪問看護ステーションの併設も条件となり、国は在宅療養支援診療所と並び在宅医療の拠点に地域包括ケア病棟をさせようとしている

③ただ問題はステーションが実質的には機能しないであろうこと、今後質の高い訪問看護師がどの程度増えるのか、増えなければいくら看護師がいても地域の医療職やケアマネからは使われないステーションとなってしまうだろう

 

ということでした。皆さんの医療制度への思索の参考になりましたでしょうか?何かご意見あれば教えてくださいね。

 

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