公開日:2016年05月26日

訪問看護師さんの仕事、映画で見たいと思いませんか?

在宅で癌患者さんの緩和ケアをしているとよく思いますがやはり在宅医療の主役は訪問看護師さんだと思います。そんな訪問看護師さんですが仕事の内容は多岐に渡ります。排便管理、服薬管理、保清、家族(もちろん患者さんもそうですが)のメンタルケアなどなどはその一部です。ただその人の生活のなかで、その人の物語性を重視してケアしていくことは看護師さん自身にとってもとっても心理的には負担になります。(端的にいうと精神的な負担感がすごいです。これは在宅緩和やった訪問看護師さんならよくわかると思います。)病棟では流れ作業的にこなしていたケア、在宅ではそんなことはもちろんできませんよね。

この映画、そんな訪問看護師さんに焦点あてているみたいです。自分は是非みてみたいと思いますが皆さんでしょうか?札幌でもみれるんでしょうかねー、上映してくれることを切に望みます。

http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/16_chronic.html より

或る終焉

デヴィッド(ティム・ロス)は、終末期患者の看護師をしていた。妻と娘とは、息子の死をきっかけに疎遠となり、一人暮らし。彼には、患者の在宅看護とエクササイズに励む以外の生活はなく、患者が望む以上に彼もまた患者との親密な関係を必要としていた。ある日デヴィッドは、末期がんで苦しむマーサ(ロビン・バートレット)に安楽死を幇助して欲しいと頼まれる。患者への深い思いと、デヴィッド自身が抱える暗い過去…その狭間で苦悩する彼が下した壮絶な決断とは──。
アカデミー賞受賞の功績を持つアレハンドロ・G・イニャリトゥやアルフォンソ・キュアロンなどの世界的巨匠を輩出し、常に一歩先を行く大胆かつ繊細な視点と唯一無二のエンターテイメント性で世界を熱狂させてきたメキシコの映画芸術。彼らにつづき、メキシコ次世代を担う新たな才能は、あくまでクールなまなざしが持ち味の新鋭だ。2009年に長編監督デビューをして以来、わずか2作目の『父の秘密』(12)が第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてグランプリ受賞。続く、3作目の本作が第68回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞と、映画監督としてはまだ短いキャリアにもかかわらず、世界最高峰の映画祭を魅了してやまない俊英ミシェル・フランコである。36歳という若さでありながら”人間”を深く抉り出す、研ぎ澄まされたその観察眼に私たちは驚きを隠しえない。
また主人公デヴィッドに扮したのは、主演としてバイプレイヤーとしてさまざまな監督に愛され、幅広いキャラクターをこなしてきた名優ティム・ロス。患者の残りわずかな最期のときを、家族をも超越した距離感で共に過ごす看護師を演じ、役者としての真骨頂を見せてくれる。
本作は今日最も注目されている終末期医療をテーマに、”看護師”と”患者”という”親密な他人”の関係性をあくまでリアルに定点観測のごとく冷静に映し出す。監督自身の体験談から紡ぎだされた絶対的説得力のある脚本、一方で、作品全体に漂う決して説明的ではない静謐な余白は、観る者に挑発的なまでにあらゆる感情と憶測をもたらす。そして、想像をはるかに超えたその”命のゆくえ”は私たちに、美しくも強烈な余韻を残してくれるにちがいない。