公開日:2016年02月06日

施設への訪問診療について

ようやく1週間が終わりましたが今週は自分が当番医ですので携帯もって待機中です。今は月初めの仕事であるレセプトのチェックを行っています。開業当初の30枚程度に比べればだいぶチェックする枚数が多くなってきました。

さて今回は施設への訪問診療の在り方について簡単に記載します。そもそも当院の訪問診療はほぼ純然たる居宅(いわゆる一般の家)を中心にしてきました。施設を訪問する訪問診療はやはり患者さんとその家族の関係や顔がみえないのと、やっぱりなんとなく自分がイメージする在宅医療とは少し違う気がしていたため遠慮しておこう、と思ったことも一因ではあります。昨年4月までは居宅と施設の患者さんの割合が大体9:1くらいで、1施設でも大体2,3人くらいしかみていませんでした。(札幌市内のいわゆる訪問診療を専門に行っているクリニックでは大体割合は7:3~5:5くらいが普通ではないかと思います)

皆さん知っているかもしれませんが、2014年の診療報酬改定で施設ばかり回っている訪問診療のクリニックが問題視されその診療報酬が激減しました。これは仕方ないと自分は思っていますが、来季以降の診療報酬の改定でもさらに施設への訪問診療の報酬が下がることが予想されていたため、この2年間で札幌でも施設からの訪問診療を撤退するクリニックさんが出てきました。撤退してもいい、つまり不必要な診療だったのでは、と思うかもしれませんが、確かに一部の施設では特に困ることはなかったかもしれませんが自分の周囲ではそれなりに重症度の高い人や重度の認知症の人をみている施設やグループホームが多く、そういうところが困っているのも事実です。

この2年間でそういうところから頼まれて自然とGHなどの施設の患者さんを見る機会が多くなってきましたが、将来的なことも考えると、診療報酬が今後将来的に減ることは間違いないし正直困っている人へのボランタリー的な仕事と割り切ってやろうと考えていました。ただ次回の診療報酬の改定では、訪問診療専門医療機関が在宅療養支援診療所として働くためには施設の患者さんは一定数以上みてはいけない、ということになってしまいました。(http://www.imai-hcc.com/archives/2317 参照してください)

近場のクリニックの先生もみてくれない、訪問診療専門の医療機関もみれない、そうなると施設に入居している患者さんはどうなるんでしょうか?一部の施設ばかり回る診療クリニックに丸投げとなるのでしょうか。本当にそれでいいのって個人的に思いますが皆さんどう考えますか?在宅は個人宅をみていくのが基本ですが、老々介護なども多くいつ要介護者の状態が変化するとも限りません。良質な個人宅の在宅のためにも良質な施設への訪問診療の在り方を今こそ考えるべきではないかなと思います。このままでは施設の患者さんは悪くなったらすぐ病院へ、となる可能性が高いと思いますがそれって時代の要望に逆行していますよね・・・・