公開日:2015年12月07日

来年度以降のがん対策加速化プランがでました。

国が増え続ける癌患者さんへの対策にどう考えているのか、そしてどう対応しようと考えているのかがわかる資料をみることができます。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106010.html のPDF http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106059.pdf を参考にしてみてください。

在宅分野に関しては緩和ケアの部分を抜粋してみてみたいと思います。国は在宅緩和が進まないのは研修不足や、緩和ケアチームの取り組みが不足、普及していないからだと考えている節もありますがそうではないと思います。現場の人はできる限り在宅での看取りをしたいと思っています。現実的には働く人がいないから看てあげられないという点が一番の問題で、そこをどう改善するか、どう在宅に医療者を誘導する政策がとれるかが不明瞭のままではこの計画自体が画餅になってしまうでしょうね。皆さんの感想はいかがでしょうか。

以下先ほどのPDFより抜粋 P18~

(3)緩和ケア
<現状と課題>
緩和ケアについては、がんと診断された時から全人的な苦痛を軽減するため、拠点病院に緩和ケアチームを設置し、がん疼痛をはじめとするさまざまな苦痛のスクリーニング 31 を診断時から行うなど、緩和ケアを組み入れた診療体制の整備が行われてきた。また、がん診療に携わる医師等が緩和ケアに関する基本的な知識と技術を習得するための研修も進められ、平成27年9月30日時点で63,528人が受講している。 しかし、拠点病院において、緩和ケアチームの年間新規診療症例数が50件(月に4件程度)に満たない施設は25%におよび、緩和ケアチームの診療報酬上の評価である「緩和ケア診療加算」を算定する拠点病院も176施設と半数に満たず、緩和ケアのニーズに対応できていないことや苦痛のスクリーニングも普及していないことが、「緩和ケア推進検討会」等で指摘されている。
さらに、身体的苦痛や精神心理的苦痛の緩和が十分に行われていないがん患者が3~4割32 いるという調査結果も出ており、基本計画の全体目標である「全てのがん患者と家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」を達成するためには、引き続き緩和ケア提供体制の検証と整備を進める必要がある。
また、入院、外来、在宅等の診療の場を問わず「切れ目のない質の高い緩和ケア」を提供するためには、地域で緩和ケアを担う人材の育成や施設間の地域連携は欠かせない。平成27 年8月に「緩和ケア推進検討会」がとりまとめた「地域緩和ケアの提供体制について」では、①拠点病院等の専門的緩和ケア(緩和ケアチーム、緩和ケア外来等)の提供体制が、地域では十分に整備されていないこと、②地域で緩和ケアを担う施設に関する情報が集約・共有されていないこと、③地域の緩和ケアを担うスタッフが不足しており、診療・ケアの質が十分に担保されていないことなどが課題としてあげられている。
<実施すべき具体策>
入院患者のみならず、外来患者に対する緩和ケアも充実するため、以下の施策を提言する。
緩和ケアチームの質の向上のため、緩和ケアチームの年間新規診療症例数が多い等、診療機能の高いチームが、他病院の緩和ケアチームの医療従事者を受け入れて、実地研修を提供する。
苦痛のスクリーニングの事例集等を作成し、医療現場に普及する。
人材育成に関しては、関係学会や都道府県と協力して、引き続きがん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の受講を進める。
関係団体と協力して、入院、外来、在宅等の診療の場を問わず、適切な緩和ケアを提供できるよう、緩和ケアに関するガイドブックの改訂を進める。
終末期の療養生活の質を向上させるため、関係団体等と協力し、遺族調査を通じて終末期の医療・介護サービスの実態を分析する。
がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう、関係団体と協力し、緩和ケアに携わる者や施設間の調整を担う人材の研修や、訪問看護ステーション等の看護師を対象とした研修を実施する。
近年、外来で治療を受けるがん患者が増えていることに鑑み、病院の外来から在宅医療への移行や、がん患者が安心して自宅等で療養できるよう緊急の症状緩和目的の入院を受け入れる緩和ケア病棟を評価する。