公開日:2018年07月01日

複数の専門科を受診をすること、かかりつけ医をもつこと、両者は矛盾しません。

こんにちは、宮の森でかかりつけ外来を行っている診療医@今井です。

今日は専門科での診療とかかりつけ医についての話を少ししたいと思います。

 

先日外来に体調不良で受診された初診の患者さん、複数疾患があってS大学病院とT病院、Sクリニックに通院されているのですが処方は全て3か月処方で通院も3か月毎とのこと・・・・日々の体調管理や相談が中々できずに困っていて今回も困る症状ありとのことでの来院でした。

ひとまずその場でできる処置を行いましたがその後の診察室でこんな会話がありました。

 

今井「処方やちょっとした検査、体調管理は当院でもできますし、何より専門科以外の相談にものれますよ?専門外来に通うのはいいと思いますが、頻度とかかり方をよく相談してみてはいかがですか?

例えば必要な検査や体調変化時のみ受診して通常はこちらにかかるとか・・・

今まで通り複数病院受診されてもいいですが、お年もとられて今後も今回のように色んな病気でてくることもあるかも知れませんよ。体調変化時にこれまでの治療情報もなく場当たり的な治療の相談って実はどこまで治療していいのかって診察する医師としても結構迷うんですよ・・・

何より複数病院かかることで医師としてもどこまで自分が診察すべきかって結構中途半端になることあるんですよ~」

患者「今まで3つの病院の3人の先生がかかりつけの先生で通っていたんです。専門病院での治療は希望したいし・・」

今井「行くなって言っている訳ではないんですよ。ただ定期通院しても3か月毎の定期受診で薬も変わらないのなら、日々の体調管理は近くの診療所でして、検査のときだけ、必要になった時だけ受診するっていうかかり方もあるんですよ。」

患者「・・・・少し考えます・・・」

 

なーんてこんな感じの会話、日は結構多く外来でしています。

自分はかかりつけ医を何としても当院に変えろ!なーんて了見の狭いことを言っているんではないです。

ただ専門科での診療とかかりつけ医の使い方はきちんと考えて欲しいなぁといつも思っています。

かかりつけ医とは

元来かかりつけ医とは

「患者さんに医療的な問題が起きたときに身近で相談にのり対応してくれる、自分を一番よく知っている医師」

っていうのが定義かと思います。

何か問題が起きたときにその人の人生をきちんと把握した上で総合的な診察やアドバイスをしてくれる、そんな医師がかかりつけ医ですね。

なのでこの定義から行くと、

大きな病院の専門科のDrはかかりつけ医とはなり得ません!

これは大事なのでよく理解しておいてくださいね。専門科のDrの仕事は専門科の疾患の治療をすることが仕事であって、その人の人生や家族背景、医療に対しての考え方等はあまり重要ではないんです。

あくまで通院している患者さんは「その専門科での診察に特化」して診察していると考えているDrがほとんどです。

決して自分はそんな専門科のDrの診察を否定している訳ではないですが、それが上記の患者さんのように複数の病院や診療所を受診することになると、結局誰もその人の人生やトータルの医療に関しての責任を持たなくなります。

薬も各専門科がバラバラにだしますので10種類以上の多剤投薬、ポリファーマシーにどうしてもなってしまいます・・・・

 

こんな感じで色々通院している人が、何かあった時だけ大きな病院には行けないから診察してくださいっていわれても、正直かかりつけ医として診察しているクリニックの立場からしたら「難しいな」っていうのが正直なところです。

○治療歴がわからない

○他の先生の考えがわからない

○その患者さん自身の医療や人生に対する考えもわからない

この状況で診察、治療するっていっても結局は無難な治療しかできないですし、何かあったらすぐに元の病院に行ってね、としか言えません・・・・

 

高齢者は複数の専門科を受診するのではなく一か所のかかりつけ医をもってください

ということで何が言いたいのかというと、高齢者の方は複数の専門科を受診してもいいのですが、投薬であったり検査であったり今後の治療方針であったりとしてもらう医師をかかりつけ医として是非一人つくるようにしてください。

さらにはその先生が在宅医療や介護についても精通していると尚いいでしょう。

そんなかかりつけ医をもたないと本当にその人にとってのベストな治療や責任のある医療って受けられないのが実情かと思います。

複数の専門科を受診をすること、かかりつけ医をもつこと、両者は矛盾しませんのでかかりつけ医をもつことを是非ご検討くださいね。

 

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