公開日:2018年06月24日

倉敷中央病院内の薬局で日本調剤がセルフメディケーション推進??このニュースから考える4つの疑問・・・

こんにちは、札幌の中央区で訪問診療している医師@今井です。

病院内薬局を設置してセルフメディケーションを推進って・・・・色々な視点からこの問題を考えることができるかなと思いましたので、以下に今井が疑問に思った点を少し考えまとめながら書いてみたいと思います。

 

先日倉敷中央病院で病院内薬局がでるとニュースでみていましたが、その詳細がm3の記事ででていましたのでちょびっとだけ紹介します。

m3より。

日本調剤 病院内に薬店をオープン 薬剤師や管理栄養士の常勤で健康相談にも対応

日本調剤は岡山県倉敷市の倉敷中央病院内に薬店「NICHO+(読み方・にっちょうぷらす)くらしき」をオープンした。同店は薬剤師や管理栄養士といった専門家が常駐することで、利用者の様々な健康相談に対応できるとしている。

新店は倉敷中央病院1階に位置し、「保険調剤を実施しない薬店であるため、敷地内薬局ではない」(同社広報部)との考えのもと、病院の中で「薬と食に関わる専門家による安心安全なセルフメディケーションの推進」「健康チェックステーション機能による未病促進」をコンセプトに掲げる。同社によると「医療費高騰を背景に、倉敷中央病院としてもセルフメディケーション推進の必要性を感じており、病院内で薬店の設置を検討していた」という。

また店舗内には体組成計などの健康測定機器を配置し、未病対策を実施するほか、OTC薬やヘルスケア商品の販売も行うが、販売面の省スペース化を考慮し、デジタルタッチサイネージを設置する。

日本調剤はこれまで門前薬局を展開し、病院との連携や高度薬学管理などで薬剤師の質向上に努めており、今回の事業に関しても「単なるOTC薬やヘルスケア商品の販売にとどまらないサービス提供を行う場として、倉敷中央病院との連携による新しい形のヘルスケアショップが実現できる」と高い意気込みを示している。

なお、同社は他の病院などで敷地内薬局を複数展開しているが、「新店は敷地内薬局とは目的・役割が異なる」としており、あくまでも病院との連携に向けた新しい取組みのひとつとの考えを示している。

また薬店であるため「現時点では健康サポート薬局の要件には満たない」としている。

 

 

まぁ日本調剤としては新しい試みだからとりあえずどんどんやってこうぜ!って感じだと思うのですが正直このニュースをみて4点の疑問が自分の中では湧いてきました。以下にその4点を書いていきたいと思います。

①そもそもセルフメディケーションってどうあるべき?

セルフメディケーションはそもそも病院に通院していない人の健康管理を意識してもらう意味合いが強いはず。通院している人の管理は病院がすべきだし、できないなら地域の医療機関なりかかりつけ医の役割をお伝えしてバックすべきだと思います。

さらには地域にこれだけ薬局が増えている現状もあるので、OTCなどを買いに行く患者さんの生活に密着した活動をしている地域の薬局薬剤師がすべきだと思うんですがどうなんでしょうかね?

病院内でやったって正直本来的な意味からずれていると感じてしまいます。

②この病院は地域の診療所との連携や薬局との連携をどう考えているの?

これっておそらく「外来でそんなことする暇ないから病院内の薬局でやってよ」っていう風に病院側が考えたっていうこともあるんでしょうが、これ自体が

①地域連携を重視していない(患者を地域に戻したくない)

②患者視点での医療というよりは病院視点であくまで活動している

ていうことを暗に示唆していると自分は捉えますが皆さんはどうでしょうかね?

外来が検査重視になっているのは大病院なら仕方ないと理解できますが、できないことは地域で多職種でやってこうぜ!っていう時代の流れに見事に逆行するこの決定・・・・病院経営者大丈夫?って思ってしまいます。

③日本調剤はセルフメディケーションをどう考えているのでしょうか?

日本調剤としては失うものはないしやるだけやってみようというまぁ、当たり前と言えば当たり前の考え・・・・ただ本来なら地域で生活に密着してやらなければいけないことを病院内でする、ということは結局は患者さんのこと云々より自分達の医療機関の利益を第一に考え活動しているんだねっていうことが如実にわかる行為かなと個人的には捉えました。

そもそもセルフメディケーション自体をただのビジネスと考えどう提供すべきか、どうあるべきかっていう視点が欠落しているように思えます。

これはなんか違うな、結構感じ悪いな、って思っている薬剤師さん、多いと思いますがいかが?

④地域医療構想の中での医療機関の機能分化推進は難しいか!?

今後地域医療構想の中で医療機関の機能分化が推進されるはずだが、このように「自院にはない、もしくは期待されていない機能でもあくまで持ちあたい」と希望する医療機関は一定数いるでしょうね。

ただ医療構想の中ではあくまで機能分化された病院や診療所が協力していくことが望ましいはずであり、このような自院第一主義的な考えの病院と地域の医療機関がどのように付き合っていくのかは大きな課題として残ると予想できます。

医療機関の機能分化は各医療機関が自分の病院第一主義からどれだけ地域目線で考えていけるのか、っていうことが問われていると、改めて今回の件で認識させられました。

 

 

・・・と上記記事から今井はこの4点について考えさせられましたが皆さんはどう考えますか?

よければ教えてくださいね。

 

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