こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

早いもので自分が開業してから既に7年が経過しました。その間に本当に色々経験してきました。在宅医療のこと、スタッフのこと、経営のこと、集患の方法などなど・・・・

その経験や知識を基にして、在宅医療に興味のある医師、または在宅医療のクリニックを開業することを考えている医師のために

「在宅療養支援診療所の開業、経営、運営の教科書」

を書いてみました。(題名は診療所経営の教科書から拝借です)

是非興味のある方は一読ください。今後どんどん内容充実させていく予定です!!

さわりの3項目を以下に書き出しますね。完成は7月中を目指していきたいと思います。1日1項目が目安かな・・・・いずれにせよ完成したらこのブログで再度公表します。

 

 

はじめに

 

こんにちは、札幌で複数医師体制で多職種が在籍している診療所でチームで在宅医療、在宅緩和ケア、かかりつけ診療外来に取り組んでいる医師の今井です。

現在社会情勢として外来診療や入院医療における高齢者の占める割合が年々高くなってきているのは皆さん実感されているかと思います。その中で外来、入院に次ぐ第3の医療の場として在宅医療が患者、医師双方に注目されています。

今後人口構成の変化に伴い外来診療や入院医療が縮小する一方、在宅医療については地域包括ケア推進の政策上も、また高齢化などの社会情勢の変化の上でもその重要性が増すことは間違いありません。

病院の勤務医であっても開業を考えている医師にとっても、在宅医療を理解すること、また実践することは今後必須になってくることと思います。

ただ医療者にとって在宅医療を学ぶ場も限られているのは現実ですし、何より在宅療養支援診療所の運営や経営自体どうなっているだろう?と知られていないのが現実かと思います。

本文章は在宅医療に興味のある医師、在宅医療の分野で開業をしたいと考えている医師のためのものです

前者には在宅医療に取り組んでいる医師や在宅療養支援診療所を知って頂きたいですし、実際の診療所経営についてどうなっているかも知る貴重な機会となると思います。

後者に関しては、具体的な運営方法、開業への準備の際に考えるべきことが理解できますし、開業後の経営については具体的なアドバイスや方針を考える際に本文章が有益な内容となっていると考えます。

在宅医療に興味はあるけれどどう始めていいかわからない、もしくは在宅医療や在宅緩和ケアに取り組むクリニックを開業したい、または既存の外来診療にプラスして在宅医療を行いたいと考えているけれどどのように勉強、行動していいかわからなくて困っている、または開業したけれど思うように経営がうまくいかない、どのように軌道にのせていくべきか悩んでいる・・・・そんな医師は多いのではないかと考えます。

かくいう自分もそのような医師の一人でした。どうしたら在宅医療を勉強、実践することができるんだろうか?どうやって診療所を経営していったらいいんだろうか?スタッフの問題にはどうとりくむべきだろう?車両管理や経理のことなどどうすべきなどなど・・・

他にも色々なことを開業以前、さらには開業後も常に悪戦苦闘しながら一歩一歩すすみ、経験してきました。

当院は2011年に自分一人で在宅の診療所を立ち上げてからこの7年あまりで、医師7名、MSWや看護師、事務員など総勢40名程度の、在宅療養支援診療所でありかつかかりつけ外来診療を行う“地域包括ケアクリニック“となることができました。

また診療所以外でも訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などの事業を展開し総合的なコミュニティケアサービスを提供できるようになってきています。その当院の経験、ノウハウは在宅療養支援診療所の開業、経営、運営を考える上でとても役に立つ知識であると考えています。

今回在宅医療に従事する医療者を増やしたい、また在宅療養支援診療所が地域で少しでも増えてほしいという願いから、在宅療養支援診療所の開業から経営、運営の仕方まで自分が考えていること、経験したことを文章としてまとめましたのでそのポイントを皆さんにお伝えしようと思います。

これを読めば在宅療養支援診療所の開設から開業後のある程度の段階までどのようにすすめていけばいいのか、具体的なヒントが得られるようになっています。

もちろんそのまま実践してもらっても十分通用する実用的な内容であると確信しています。

以下が今回書く文章の内容となっています。大きく3部の構成と38の小項目から成っています。

まずは内容をご確認ください。

 

1準備編~開業まで

1在宅医療を知るために~まずは在宅医療のクリニックで働こう

2どのようなクリニックを選ぶべきか

3最速で在宅を理解するために読むべき教科書は何か

4開業場所の選定で重視して考えたいこと

5レセプト業務に関しての考え方と開業までにすべきこと

6開業前からできる集患の準備

7開業準備、手続きに関しての考え方、知っておきたいこと

8開業時期はいつにすべきか

9職員の募集について~最初はこの職種を募集しよう

10初期にかかる費用の目安と必要な運転資金の目安

11電子カルテの選び方

12医師会加入についてどう考えるか

 

 

2経営編~開業後

13開業後の集患の方法について

14薬、医療材料、麻薬の管理について

15目標と戦略を設定しよう

16いい看護師を採用するためにすべきこと

17MSWを採用し地域連携室をつくる際のTIPS

18みなしの訪問看護の開始の仕方

19医師を雇用するためには~条件、給与など

20雇用した医師の働き方について考えておきたいこと

21医師紹介会社の利用の仕方

22経理について考えておきたい事

損益分岐点と患者数についての実際

23支出に占める人件費率の割合はどの程度を目指すべきか

24HPへの考え方~何を求めるのか明確にしよう

25処方せんの取り扱い方

26知っておく、持っておくと差がつく器材、サービスとは

27車両管理の考え方

28薬局との上手な付き合い方

29訪問看護ステーションとどうつきあうか

30診療報酬の改定をどう予想するか

 

3発展編~さらなる事業展開を行おう

31訪問看護ステーションを開設しよう

32居宅介護支援事業所を開設しよう

33かかりつけ外来を開始しよう

34専門外来を開始しよう

35分院についての考え方と展開の仕方

36SNSの利用について考えておきたいこと

37介護事業に関してのマネタイズの考え方

38新たな事業を展開について

 

最初から順に読んでもらってもいいですし。そうではなく気になる項目のみ切り出して読んでもらっても役に立つような、実践的な内容を目指して書いてあります。

本当に一人でも多くの志しのある医師に在宅医療に従事してもらいたい、在宅療養支援診療所をうまく経営、発展させていってもらいたいと心から願っております。

それでは一緒に在宅療養支援診療所の開業、経営、運営の仕方について学んでいきましょう!!

 

1準備編~開業まで

1在宅医療を知るために~まずは在宅医療のクリニックで働こう

皆さんが在宅医療を知るきっかけは色々あったかと思います。雑誌での情報、アルバイト、友人のすすめ、医局で派遣された先でやっていて知った、等々・・・

きっかけはどうであれ、何かしらの理由で在宅医療に興味を持って頂けたことは在宅医の一人としてとてもうれしく思います。

さて在宅医療の魅力は複数ありますが、なんといっても一番は患者さんのとの距離が近いこと、既存の医療とは違い診察にも十分時間をとれること、人や家族を診ることができることが挙げられますよね。まずは興味をもったら是非一度は在宅医療に実際に従事されることをお勧めします。本で読むよりももっと心にせまるような体験ができることは間違いないと思います。

また実際に在宅療養支援診療所としての開業を検討されるのであれば、いきなり開業するのではなく必ず一度は在宅医療を行う医療機関での診療をお勧めします。

理由としては①他の医師の在宅診療の診察を診ることができる②複雑な在宅医療の制度について勉強することができる③レセプト作成業務について知ることができる、などが挙げられます。

1に関しては開業後は自分一人だけでの診療になってしまうため診療の幅が狭くなってしまいます。できるだけはじめのうちに色々な医師の診療をみておくことはきっと後々の財産になるでしょう。

2に関しては正直病院勤務から直接開業し、在宅医療の制度を知らないまま在宅医療を行っている医師がいるのも事実です。ただそのような医師は看護師や事務員、MSWなどを自分自身できちんと教育することができませんし業務内容が正しいのかどうかも判断することが難しいです。

結果として組織が大きくなるに従い発生する各事業、職種、業務の方向性や妥当性などを判断、指示する時に、正しい事業や経営的な判断を下せなくことが出る可能性が高いと考えます。

単純に考えても制度も知らないで事業の方向性、将来性なんか打ち出せる訳ないですよね?

と言う訳でここをおろそかにすると後々に後悔することになりますのできちんと学ぶようにしてください。

3に関しては2と共通ですが医療機関の経営にとってもっとも基礎的な仕事はレセプト作成です。後述するように「開業医は開業時には一人である程度マルチタスクをこなせるようになるべき」との信念からレセプト作成は最低限自分でできるようになるべきだと考えます。そうじゃないと正直事務員が辞めたときに自分で対応ができないってなるとものすごく困る事態が発生しますよ?

実務的な面からも、経営的な面からも在宅医療のクリニックに一度勤務しレセプト作成業務を知る、できるようになるっていうことは非常に大切ではないかと思います。

既存の在宅医療を行っているクリニックであれば、将来開業したいんですと当初から言って入職しても問題にはならないでしょう。というか開業する気があるのならば必ず最初から言っておくべきです。おそらく1年~2年程度の期間で開業に必要な知識を学び、準備をすることができるのではないかと考えます。

ちなみに当院では大体2年スパンで開業支援を考えています。(分院でOKの場合はもう少し早めに開業可能です)

~半年:在宅医療の制度、知識について学び、最低限の在宅医療を実践することができるようになる

~1年:在宅医療の制度、知識の理解が深くなりレセプト作成ができるようになる

~1年半:周囲のスタッフに在宅医療について指導することができるようになる

~開業まで:開業準備、勤務しながらの集患など開業後に備えて行動する

 

この期間は各クリニックによっても違うでしょうから必ず入職前に見学にいき、よく相談しておくことが重要です。

在宅医療を知るためには本や講演、学会なども重要ですが勤務に勝る経験はありません。まずは必ず在宅医療をしているクリニックでの短期~中期の勤務を検討してみてください。

要点:在宅医療に興味がある、在宅医療の分野で開業を考えているなら一度は在宅医療を行っているクリニックで勤務すべし!!メリットが多い。

2どのようなクリニックを選ぶべきか 

さて上記1のように在宅療養支援診療所としての開業を目指すためには在宅医療をきちんと知る必要がある、また在宅医療を知るためには在宅医療を行っているクリニックで実務をみせてもらうのが一番手っ取り早いということをお伝えしました。

ではどのような在宅療養支援診療所で勤務することが望ましいのでしょうか?個人でやっている小さいクリニック?それとも大規模展開しているクリニック?病院から在宅医療をやっているところ?色々選択肢があるかも知れませが自分は以下の10項目をきちんと確認して勤務する在宅医療クリニックを選択すべきと考えています。

 

  • ALSや癌終末期などの重症者をきちんと診療している
  • 居宅中心の訪問診療で施設ばかりに訪問していない
  • 経営者が制度や在宅医療についてきちんと理解している
  • 充分な看取り件数、夜間深夜の往診件数がある
  • 診療実績を公開している
  • 見学を受け入れている
  • MSWがいる
  • 仕事はオンオフがはっきりしている
  • 将来開業を考えているといっても嫌な顔をしない。業務をきちんと教えてくれる。
  • 可能であれば開業時に患者を少しでもそのままつれていっていいと言ってくれる

 

これらの項目を数多く満たす診療所であれば、まず外れのない診療所と思ってもいいかと思います。特に見学に行ったときに経営者に過去の実績や看取り件数など、居宅と施設の訪問割合などについて聞いても明確な返答がないクリニックに関しては勤務しない方がいいでしょう。

真っ当な在宅医療を行っていると自負していると診療所の経営者であれば、規模の大小はあれ必ずそれらの数字については把握していますし、見学に来た医師から聞かれたらためらうことなく教えてくれます。

上記10項目については勤務する前にきちんと確認するようにしてください。

要点:勤務する在宅医療のクリニックを選ぶ時には上記10項目をチェックして選べ。きちんとした診療所を選択することはもっとも重要!

 

3最速で在宅を理解するために読むべき教科書は何か

実地のクリニックで勤務しながら在宅医療の制度や診療報酬、在宅医療そのものについて学ぶのはもちろん大切ですが、文章できちんとそれらの内容を理解、把握しておくことも同じように重要です。

ということで在宅医療の初歩から、開業までの間に読むべき本を5つ、選んでみました。

この5冊を繰り返し読めば、まず最低限在宅医療に関わる知識の8~9割は網羅できるようになると思いますので購入を検討してみてください。

 

1たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル

言わずとしれた在宅医療の教科書です。自分も在宅医療を始めたときから随分お世話になりました、もちろん今もなっています。当初はHPで在宅の事色々書いてくださっていたので、そのサイトを夜中にずっと見ていた記憶あります。買って損はない内容ですのでまずは在宅医療全般について勉強したい人は購入してみてください。

2在宅診療報酬Q&A

医学通信社から診療報酬の改定毎に出版されている本です。細かな算定の事、困るような要件の事など詳しく記載されています。在宅医療のハードルのひとつはこの制度理解なんですが、たんぽぽ先生の本と併せて読むと制度についての理解の幅と深さが広がります。在宅診療所で勤務される先生であればもしかしたら読まなくてもいいかもしれませんが、在宅医療クリニックのマネージメントをする、もしくはしたいと思う医師には必読の一冊だと思います。

3訪問看護実務相談Q&A

中央法規出版からでている本です。在宅医療の基本は訪問看護です。在宅医にとっても、また当たり前ですが訪問看護師にとっても訪問看護の制度を理解しておくことは必須の知識だと思います。この本は具体的なQ&Aで書かれているので知りたいところだけをピックアップして調べるのにもいいですし読み込むのもいいですしお勧めです。訪問看護師ならここに書いてある内容は全て覚えて欲しいですね。在宅医なら全て覚える必要はないですが、どのような理論、原理原則に従って訪問看護師が動いているのかを理解しておくことは非常に重要ですので是非一読しましょう。

4神経難病在宅療養ハンドブック―よりよい緩和ケア提供のために

メディカルレビュー社からの出版です。2016年発行のハンドブックですが非常にいい内容です。神経難病のケアや治療について実践的な内容が書かれています。無駄を省いてエッセンスのみのせてあるため神経内科以外の在宅医療を実践している先生が手元においておくのにちょうどいいでしょう。これも必須の一冊です

5教えて 在宅緩和ケア  がんになっても家族で過ごすために

札幌の在宅医の前野先生の著作です。この本もいうまでもなく在宅緩和ケアに関しては理解しやすい内容ですのでとっつきやすいのでいいのかなと思います。この本紹介してダメだったっていう感想いった人、聞いたことないですね・・・・・

このレベルの内容なら必ず理解して説明できるようになっておきたいですね。

特に前者の3冊はマスターすべき必読の書です。この内容が腑に落ちて実際の臨床で使えるようになるには結構時間がかかりますが、実臨床上も、医療事務上も、経営上の判断をする上でも必要な知識を得られますので是非必ず購入して一読してください。

要点:在宅医療を学ぶ、実践するためにはこの5冊を読み込め!特にお勧めの3冊はそれで在宅医療に必要な知識の8~9割は得ることができる!

 

 

 

 

こんな感じでどんどん書いていきますね~、乞うご期待!!

追記:7月24日現在、7つの項目書き終えましたが既に1万字を突破・・・・書きたい内容を完成してから発表したらだいぶ遅くなりそうなので8月頭にでも途中でもいいからNOTEなどで発表したいと思います。もうしばらくお待ちください・・・

 

 

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