公開日:2018年01月28日

看護師の未来はどうなるの?死亡診断が可能となった今回の改定から考えてみる

こんにちは、訪問看護師にいつもお世話になっている在宅医@今井です。

今回の診療報酬改定で大きな変化がいくつかありました。その中で特に気になったものの一つに条件付きながら看護師さんが死亡診断が可能になった、という点があります。元来看護師は医師の指示の元での診療の補助や療養上の世話にあたる、という法解釈で医療行為を行ってきましたが、今回の死亡診断に関しては自分は医師の本丸ともいうべき所までついにきたか、という印象を受けています。後々振り返った時に2018年の今回の改定が医師にとっても看護師にとっても大きな分岐点、歴史的な改正になった判断されるでしょう。

この意味を各医療職、特に看護師さん自身はどう受け止めているのでしょうか?あんまり考えていない?いえいえ、きちんと考えるべきですよ。国が制度改革を通じ強烈なメッセージを送ってきていますので

という訳で今回の診療報酬改定を踏まえてこれからの看護師に期待される役割はなんなのか、それに伴いどのような変化がおきることが予想されるのか、そして他の職種、具体的には医師の業務にどのような変化をもたらすことが予想されるのかを簡単に考えてみたいと思います。(あくまで今井の考えですので異論あれば遠慮なくどうぞ)




これからの看護師に期待される役割はなんなのか?

看護師さんに在宅の現場で死亡診断が可能となった、あくまで条件つきですので小さな一歩でしょ?とか思うかも知れませんが、国の意図とこれまでの制度改革の進め方をみているとこれは大きな変化と思います。1→2や10にかわったのではなく0→1への変化ですからね。

予想以上に早い少子高齢化、医師不足、在宅医療の充足のために国は明確に多くの看護師に特定行為をしてもらいたいと考えています。しかもその実現は自分達が考えるより遥かに早く行われるはずです。(そうしないと医療の現場が回らなくなるから)

下に特定行為の21領域38行為の表を載せますのでご確認ください

この行為リストをみて皆さんはどう考えますか?診療看護師しかできないから関係ない、とは思わないでくださいよ。この特定行為、元々病棟でチーム医療の一員として行われるものも確かに含まれますが、意図としては明確に在宅医療の現場を意識しています。今回まずは条件付きながら在宅の現場で看護師さんが看取り可能となったことで、その他の特定行為もまずは在宅の現場でどんどんタスクシフトが起きることが容易に想像できます。自分はこれ自体は全然悪くないことだと思います。正直在宅の現場では生活と医療の比重をどう考えるのかも問題が常にあるので医療の専門家の医師よりも看護師さんの方が指揮をとりやすいのではと考えています。

諸々書きましたが結局言いたいことは、今回の改定は特定行為が在宅の分野でどんどん解禁されていく方向になるよ、そしてできるだけ多くの看護師がその現場に従事してもらうことを国は看護師に期待しているよ、いうメッセージだと考えています。

それに伴いどのような変化がおきることが予想されるのか?

上記を踏まえそれでは実際の看護の現場ではどのような変化が生じるのか、それはやはり看護師の専門分化は間違いなく進み、時間はかかりますが半数~大多数がほぼ何かしらの特定行為ができることが求められるようになるのは間違いないでしょう。(時間はかかりますが・・・)併せて特定行為を在宅の分野ではどのように解禁していくのかの議論が活発になり実際特定、診療看護師も在宅に出てくることが求められるはずです。というか在宅でこそその技術つかいなさい・・・。

在宅の現場では医師の指示は本当に包括的となり医療的に困った時のみ対応、他は看護師が医療や生活の問題を具体的に考え解決していくという形になるはずです。タスクシフトは病院よりも在宅で圧倒的に早く進みますよ。

在宅=特定行為ができる看護師が主役

って必ずなるはず。(在宅医がこんなこと言うのもあれですが)

 

とこうなってくるとさらにどうなるか・・・えぇ間違いなく既存の看護師さんや特定行為ができない看護師さんと特定看護師さんとの看護師間格差が増大します。自分の予想では看護師間格差が増大すると看護師とはなんなのか、そもそも看護って何?っていう根本の議論が改めていつか問われるようになってくると考えますが、そもそも格差があった方がいいのかない方がいいのか・・・難しい問題を看護師さん自身が持つようになるでしょうね。

他の職種、具体的には医師の業務にどのような変化をもたらすのか?

病院や病棟での業務はまあ大きくは変わらないでしょうから在宅の現場に限って書いていきます。

上記に書いたように爆発的に増加する高齢者の在宅医療の現場の実際の指揮をとるのは看護師にシフトしていくのは間違いないでしょう。在宅の現場で医師に求められるのは包括的な指示をだし医療的なアドバイスを看護師に与えること、より広い視点でのコミュニティの問題を捉えることになるのかなと思います。実際の現場で活躍!というよりは多職種のコーディネーター的な役割が在宅では求められてくるのではないでしょうか。

 

 

ということで簡単にまとめると

①今回の診療報酬改定で看護師による死亡診断が可能になった、これは国からのメッセージが込められている!

②具体的には多くの看護師が特定行為を行うようになることが求められてる

③このタスクシフトは病院よりも在宅の現場でより必要になり早く行われるようになるでしょう

④この結果看護師さんの専門分化も進む。さらに看護師間格差も大きくなるはず

⑤将来的に看護とは?看護師の業務とは?という根本的な問いが再度議論されるようになるでしょうね

⑥在宅の現場での医師の仕事もより包括的なものにシフトする。地域全体のコーディネートの役割が求められるようになる

 

という風に自分は考え予想していますが皆さんはどうでしょうか?

先日のブログでも書きましたがこれからの医療職はきちんと将来を予想して何を求められているのかを強く意識しなければいけないと個人的には思っています。これ読んで自分はどうするかな?と一人でも多くの看護師さん(と在宅医)が問題意識を持ってもらえればと思います。

 

さて在宅医として自分はどのように準備するか・・・考えて行きたいと思います。あと在宅で特定行為やりたい看護師さんいたら是非連絡ください。いくらでもタスクシフトして将来を一緒に予測しながら当院で質の高い仕事していきましょう!!!在宅医も随時募集中です~、では今日はこの辺で・・・

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